硫酸技術   by T.Ono
 良くある質問(FAQ)−2
 
プロセス設計
  • コークス炉ガスの脱硫で、硫黄スラッジが出てきますが、これを硫酸にする方法は?
    重油等の燃料を助燃する焙焼炉で燃やし、SO2とし、以降は硫酸製造設備で硫酸とします。→PFD-5を参照ください。
  • 廃硫酸回収」とは具体的にはどういうことをするのですか?
    廃硫酸中の不純物が少なく、濃度が薄いだけの場合は多段真空蒸発缶で濃縮します。
    但し、硫酸濃度は92%程度が上限です。
    有機物などの不純物が多い場合は、重油などを燃焼する分解炉中にて廃硫酸を熱分解し、SO2を製造し、以降は硫酸製造設備で硫酸とします。→PFD-5を参照ください。
  • 石膏から硫酸とセメントを作る」プロセスについて?
    ロータリーキルンにて、石膏と粘土、硅砂を焙焼してSO2ガスとセメントクリンカーを得ます。 SO2ガスはその後硫酸になり、セメントクリンカーはセメント原料になります。
    石膏を原料とする硫酸設備は、かっては旧共産圏に有りましたが現在稼働しているかどうか? 定かではありません。
  • ガス量を増やして生産量を上げる場合、設備の更新が最小限で済む限度はどの位ですか?
    ガス量を増やす場合、ブロワー(SO2ブロワー又は燃焼空気ブロワー)の能力が問題です。 ブロワーの能力の余裕はいかほどか調査してください。
    近年は、このブロワーの余裕はせいぜい5%です。 この位の風量増加であれば、塔やガス熱交換器なども設計値からの余裕の範囲なので、投資としては触媒量の増加程度で済むと思われます。
    それ以上に増やしたい場合は、検討するべき項目が多岐にわたることになります。 当サイトの「増強・改造」に記述してありますので参考にしてください。
  • ガス精製設備を伴う硫酸設備において、SO2濃度の下限は?
    SO2濃度が低い=イナートガスが多い為転化器での酸化熱で自分を反応温度まで昇温することが困難になります。
    正確には計算する必要がありますが、4%以下では常時熱補給する外部熱源が必要になりますので不経済です。
  • 濃硫酸から70%希硫酸を作る希釈装置を計画しています。 注意事項?
    本サイトの「各種硫酸製造法」「希硫酸」を参照してください。
    特に、下記に中止いてください。
    1)スタティックミキサーでの混合が完了するよう、混合部分長さに注意のこと
    2)希釈後の到達酸温度を計算して、沸騰の恐れがあるときは2段希釈とすること
硫黄関連:
  • 硫黄タンクのスラッジ掃除を請け負いました。 注意事項を教えてください。
    1)硫黄が固結して硬いので、除去は機械(ピックなど)を使用のこと。
    2)硫黄が火花で着火する恐れがあるので、消火用水を準備しておくこと。
  • 溶融硫黄用のポンプメーカー及び流量計メーカーを教えてください。
    いずれもこのサイトの「設備新設」の「硫黄ポンプ」及び「計装機器」に記述してありますのでそちらを参照ください。(ご質問を寄越される前に、サイトの本文を検証ください)
燃焼炉・ボイラ:
  • 硫黄燃焼炉出口ガスの高温(〜1,100℃)に耐える金属材料はありますか?
    UMCO50とか、ステンレス鋳物(SCH18など)が使用されてはいますが、内部の空気冷却等を施さない限り3年程度しか持たないようです。
  • ボイラバイパス弁が高温で損傷し、定期的に更新しています。 対策はありますか?
    上述のごとく、通常の構造では長寿命は期待薄です。
    中国のサイトでは、プラグ弁を高温ガスの低温ガスダクトへの接続口に設けるという例がありますが、私は実例を知りませんのでお勧めできません。
    ボイラを新設・更新するのでしたら、バイパスガスをボイラ内を通して部分冷却し、この温度の下がった中温ガスとボイラ出口ガスを混合する「コールドバイパス法」というのが実用化されているという技術資料を見たことがあります。 理論的には可能と思いますが、これも実例は見たことはありません。 メーカー(海外ですが)は知っていますので、ご要望があればお教えします。
転化器・熱交・触媒:
  • 転化器回りのマンホールや弁などは、ボルトナットを使用せず全部溶接なのは何故ですか?
    転化器回りは、運転時は高温(200〜600℃)になりますので、ボルトナットでは膨張・収縮の為に緩む恐れがあります。 一旦緩んでガスが漏れますと、すぐに硫酸が生成して腐食生成物ができ、増し締めしても止まりません。 それ故溶接してガスシールをより完全にしています。(解放の頻度が小さいこともあります)
  • 転化器本体とマンホール蓋がステンレスだと、開放が困難。 解決策?
    サンダーで削るか、溶接で飛ばすしかありません。 1回ごとに溶接部が減っていきますので、転化器のフランジの外に損耗板を設けておき、これにマンホールを溶接するようにします。
  • 転化器回りの弁(ステンレス製)が動かなくなりました。 原因?
    場所がどこか不明なので正確にはアドバイスできませんが、一番可能性があるのはガス中の微量の水分により生成した硫酸が凝縮して、腐食生成物を作っていることです。
    乾燥塔で乾燥が不十分になっていないか、ミストキャッチャーでの酸飛沫の捕集がきちんとなされているか確認をお勧めします。
  • スタート用の電熱予熱器ですが、フル負荷にしても昇温に時間がかかるようになりました。 電気的には問題ありません。 ヒーター表面の汚れでしょうか?
    ヒーターの表面が汚れますと、伝熱が悪くなりますので昇温に時間がかかります。 ただ、空気の温度が上がらないということは、ヒーターが冷えないということですので、発生した熱でヒーターエレメントの温度が上がって、焼損する恐れがあります。
    本当に「電気的には問題ない」のか? ヒーターエレメントが焼損していないか? 点検をお勧めします。
  • 触媒のふるい分けを計画しています。 補充触媒量はどのくらい見ておけばいいですか?
    一般に、触媒量の10%程度を用意します。
  • 古い触媒を引き取って処理してくれる会社はありますか?
    引き取ってバナジウム回収をする会社があります。 (最近確認しました) ただし、産廃処理ですので有償です。 例えば、新興化学工業(株)などです。
  • SO3クーラーなどからのドレン抜き作業の際、白煙を出さない方法は?
    多くの設備では、「何もしていあない」ことが多いのではないでしょうか。
    これは、白煙の発生がごく短時間に限られるためと思います。
    SO3ドレンポット出口配管を、排硫酸地下槽に配管で接続している例も聞きましたが、腐食がひどいようです。
    白煙を出ないようにするには、ドレン出口に透明樹脂によるケースを設け、その中にドレン受けを置き、ケースの排気を乾燥塔に吸引させる方法が考えられます。
乾燥塔吸収塔・酸クーラー・酸の取り扱い:
  • 運転開始後数年で吸収塔本体マンホール溶接部から酸漏れがありました。 原因と修理方法?
    塔がSS+耐酸煉瓦の場合、長期間(25年以上)の後ケーシングが腐食により薄くなります。 数年ですと、製作時の溶接に問題があったと推察されます。
    マンホールの内張り煉瓦は胴部などより薄いはずですが、それにしても早すぎます。
    応急処置としては運転を停止して内圧を下げ、漏れた部分を削って腐食の程度を確認後、空洞があれば耐酸モルタルを充填した後パチ当てします。
    抜本的修理は、定期修理時に当該漏れ箇所の煉瓦を撤去し、マンホール鋼板内側を目視点検して腐食程度を確認してください。 溶接部のみであればその部分を溶接補修した後平らに仕上げ、再度煉瓦を張りなおします。
    全面腐食していれば、テフロンシートを張り付け後耐酸煉瓦を内張りします。 腐食量が大なるときは、マンホール全体の更新も検討してください。
  • 増強に伴い、プレートクーラーの増枚を計画しています。 注意事項?
    メーカーでは、増枚時のプレート価格を大変高く設定しており、20枚程度増枚すると、全体を新しく買った方が安くなったりします。 又、増枚しない既設のプレートも、改造時にガスケットは全量更新になりますが、この価格も大変高くなります。 ご注意ください。
  • 冷却水に海水を使用するときの注意事項を教えてください。
    1)クーラーは海水中の塩素イオンに耐食性のあるものを選ぶこと。
    2)海水中の貝類による閉塞を防ぐため、塩素殺菌を実施すること。
    3)適切なフィルターを設けて大きなゴミ、クラゲ等を防ぐこと。
    4)放出水の水温などの規制について調査しておくこと。
  • SS+鉛ホモゲン+耐酸煉瓦の硫酸地下貯槽の更新を計画しています。 材質はこれでいいですか?
    それでもかまいませんが、近年はSSと耐酸煉瓦の間にテフロンを挟むことにより寿命を延ばしています。
  • 上記の工事業者を紹介してください。
    岩尾磁器工業(株)が経験、実績共によろしいでしょう。
  • 古い硫酸タンクを掃除したいのですが、底に溜まったベトの処分方法を教えてください。
    取り出し→中和→廃棄ですが、公害問題の生じない場所に、不浸透の場所を作り、タンカル等で中和したのち砂などと混ぜて廃棄します。 廃棄場所については、信用のおける専門業者に依頼しましょう。 又、作業中の薬傷に十分注意してください。
  • 硫酸を送る配管の最大流速は?
    硫酸による腐食は、硫酸の温度、濃度、不純物量等の要素で大きく異なり、一概に述べることはできません。 それ故配管の材質毎の最適最大流速は、経験的に決めております。 ノウハウに属する内容とご理解ください。
ブロワー・ポンプ類:
  • 硫酸設備新設で、受電設備を大きくしたくありません。 ブロワーの始動方法は?
    本サイトの「設備新設」「空気ブロワー」を参照ください。
    一長一短がありますので、十分に検討されることをお勧めします。
  • ABCシールはSO2ブロワーにも使用されていますか?
    はい。 (株)タンケンシールなどにお問い合わせください。
排ガス処理:
  • 苛性ソーダによる排気除害塔で重亜硫曹を生産していますが、硫酸塩の副生を減らすにはどうすればいいですか?
    除害塔での硫酸塩は、ガス中のO2/SO2が大きいほど、ガスと液の接触時間及び接触面積が大きいほど増えます。
    O2/SO2比を変えることは困難ですので、塔の構造上「接触時間」や「接触面積」を減らすように改造することをお勧めします。
  • 排気除害塔からの副生排液は、現在重亜硫曹として売却していますが、近年売却に困っています。 副生量を減らす方法は?
    1)DCDS法に改造する。 
      →排気中のSO2量が1/4〜1/5になりますので、副生排液も減ります。
    2)転化器触媒を高転化率のものに取り換える。
      →これも排気中のSO2が減らせます。 触媒メーカーに相談してください。
    この他、Outotec社のPeroxidox法などもありますが、日本では採用が困難なようです。
ガス精製(冶金式設備):
  • 高性能集塵器でミストコットレルの代用は可能ですか?
    ミストコットレルは、冶金式その他のプロセスにおけるガス精製用や排気の白煙除去用に普通に使用されていますが、高価なものです。 ろ過式などのより安価な集塵機で代用できればコスト削減になりますが、残念ながら私の経験する限り、十分同等以上の性能を発揮する集塵器は見当たりません。
    ブリンクミストエリミネーター、ダイナウェーブなどで代用にトライした例でも、成功したとは聞いたことがありません。 特にサブミクロンサイズの粒子の除去にはミストコットレルが最適と思います。 液体・固体に関わらず集塵できるというのも大きな利点です。
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