硫酸技術   by T.Ono
 プラント建設体験-11
 
With ”老朋友” in Parit Buntar, Malaysia
15.華僑・華人 
東南アジアで仕事をしていますと、否応なく華僑・華人と交わることになります。
私も、シンガポールから始まり、マレーシア、フィリピン、タイ、いずれも相手をしてくれた技術者は中国系でした。 フィリピンやタイでは、名前も外見も全く土着民と変わりませんが、良く聞いてみると「実は曾祖父が広東から来た」とか「私の中国名はXXXと書きます」などという打ち明け話が出てきます。
華僑というのは、中華人民共和国政府の定義では「中国本土及び台湾、マカオ、香港以外の土地に居住していて、なおかつ国籍を有している者」だそうでして、国籍を捨てた人々は「華人」とも呼ばれるのだとか。
華僑たちは、中国南部の福建省、広東省からやってきた人々がほとんどで、それも「広東」「福建」「潮州」「客家」「海南」の5方言を話す地域が出身地だとか。
古代より、中原(黄河流域)から、周辺に拡大する人口が広東省、福建省にいたり、更には海を越えて働き場を求めて出て行った者たちの子孫です。
鄭和の時代以前の移住者もいますが、現在の華僑・華人の祖先の大部分は、19世紀半ばからの100年ほどの間に大量移住してきた人々の子孫です。
彼らは、東南アジアがヨーロッパの植民地政府によって開発されるにつれ、植民地政府の下請け管理者及び技術者として、かつ現地人の生産物を取り扱う商人として新しい土地で生きてきました。
例えば
シンガポール、ペナン=新開の貿易港での商業
マレーシア=錫鉱山の労働者
インドネシア=ゴム農園の労働者
タイ=鉄道建設、王室貿易の下請け
等々です。
国ごとに歴史、特に第二次大戦後の歴史が大きく異なりますので、国ごとに彼らのありようも違います。
例えば、シンガポールでは中国系が75%ですから、少数であるマレー系と如何に融和してやっていくかに政府が注意を払っています。 マレーシアは、逆に中国系は25%であり、かつ政府は「ブミプトラ」というマレー人優遇をやっていますので、中国系国民は海外に留学・就職して。外に出ていくことが珍しくありません。 タイは、王室を始め現地人との混血が進み、良く聞かないと中国系であることさえ分かりません。 インドネシアでは、「9月30日事件」というクーデター未遂事件で、多くの華僑が虐殺され、その後はなるべく目立たない様に、又は積極的に政治家と付きうことで生き延びています。
お付き合いしていますと、ずいぶん日本人とは違う点が多いことに気づかされます。
1)国の枠にとらわれない。
  北京語と広東語は、英語とドイツ語より違うそうでして、元来、中国自身がいわばEUのような多民族が雑居する「連邦国家」のようなものですから、中国人は「異郷に居住する」ことに慣れているらしく、東南アジアの諸国やアメリカ、カナダ、ヨーロッパなど、儲けと仕事があるところならどこへでも行くようです。 一方、日本では、今年の新入社員の63%が「海外勤務はしたくない」と希望しているのだとか。 嘆かわしいと思います。
2)金を無駄遣いしない
 金持ちの華僑は、おおむねベンツに乗っています。 これは、「私は、これほど金が有りますから、取引しても大丈夫ですよ」と証明する為なんだとか。 ところが、私はシンガポールでお付き合いしましたフィリピンの有名華僑の御曹司は、スズキの軽四に乗っていました。 理由を聞きますと、「無駄でしょう?」と。
考えてみますと、彼のような有名華僑の一族は、別段ベンツが無くても「金持ちである」ことは自明の利なので、ことさら証明する必要はないのでしょう。
3)大陸の中国人とは全く違う
 私は、中国本土でも仕事をしましたが、華僑華人と大陸の中国人とは、人種が違うのではないか?と思えるほどその行動が違います。 前者が「契約は守る」「勤勉」「品質の重視」するのに対して、後者はその反対。 怠け者です。
 これは多分、華僑華人が資本主義社会にいるのに対して、本土の中国人は長い共産党支配の悪影響で、「働いても働かなくても給料は同じ」「じゃあ、働くのはやめよう」という行動パターンに長年なじんできたためと思われます。 ですから、国営デパートが「成績の良いものには高い給与を与える」という方針にしたとたんに、社員が急に眼の色を変えて働くようになったらしいです。
4)アイデンティティーを重視。
 インドネシアやタイ、フィリピンのように中国名を隠していても、祖先の崇拝など、「中国文化の維持」には皆努めているようです。 「中国文化への誇り」のせいでしょうね。
5)日本人には真似ができない
 以上のように、学ぶべきことも有りますが、付き合えば付き合うほど「真似ができないなあ」と感じます。 何しろ、ヨーロッパとほぼ同じ広大な土地で、4千年に渡って飢餓・侵略・天災等の危機を生き延びてきた人々です。 周囲を海に囲まれて、外敵の侵略も稀な「別天地」に住んできた我々には真似ができません。
「真似は出来ない」けど、いいことは真似しましょう。 特に、国際化。 日本人は、これからどんどん減るのだそうですし、外国からの移住者により労働力の維持を図ることも大事でしょう・・・
以上は、千葉大学関連の生涯学習グループで、偶々「華僑」について発表する機会に勉強し直したものをまとめたものです。
発表の後、受講者から「では、日本人にはできて、華僑には真似が出来ないものは何ですか?」と聞かれました。
「きちんと仕事を仕上げる、品質にこだわる、周りに気配りができる、といった日本人気質が、ソフトパワーになりうるのではないでしょうか?」とお答えしました。
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