硫酸技術   by T.Ono
 プラント建設体験-6
 
Always "clean" plant
6.三重県 精錬会社(1997年、その他)
55T/D、75T/D、105T/D ニッケル精錬ガス原料

このお客は、1970年にわが社の大先輩たちが1号硫酸設備を建設して以来、2号機、3号機、3号機のスケールアップ・・・と次々と仕事を頂きました。
焙焼炉とボイラ、集塵機はお客様の担当ですが、冷却塔以降のガス精製設備及び硫酸製造設備は当社が全て設計・建設してきました。
インドネシアの自社ニッケル鉱山にて、鉱石と硫黄を混焼して硫化ニッケルを製造し、これを日本に持ってきて高純度の酸化ニッケルを製造してステンレスメーカーに販売していらっしゃいます。
私はエンジニアリング子会社に出向以来、ずっと海外の仕事ばかりを担当しており、このお客はある先輩がずっと自分の「テリトリー」にしており、我々の口出しを嫌っておられました。
私は、この先輩の退職前後から仕事を引き継ぎました。

一番初めの仕事は、クレーム処理でした。
新しく建設した硫酸設備の、塔回り酸循環配管が腐食して頻繁に取り換えているのだとか。
訪問して更に聞いてみますと、流れが乱れやすいエルボ、チーズ、バルブの後ろなどがひどいのだとか。 循環配管は、客先の指示でSUS316Lとしたのですが、結局こういう部分はすべてテフロンライニング管に更新しました。
客先指示なので、当方の責任はないつもりでしたが、「客が間違った要求をするときには、それを正すのがエンジニアリング会社の務めだろう」と言われ、なるほどなあ、と変に感心してしまいました。
又、転化器第1層からの高温ガスを受けるガス熱交換器がガス漏れ事故を起こし、緊急に更新することになりました。 原因は、高温酸化により発生した炭素鋼製チューブ表面のスケールが、運転停止により剥がれ(温度低下に伴ってチューブが収縮するため)、次の運転中に又表面が高温酸化し・・・を繰り返したのだろうと推定しました。
普通の硫酸プラントでは熱交換器が冷えるコールドシャットダウンは年1回ですが、このお客は当時生産スケジュールに合わせて年5回コールドシャットダウンを実施しておられましたので、スケールの剥離頻度が大だったのです。
建設後8年経過しておりましたので、当然機械保証は免責だろうと考えておりましたら、「いや、これは10年の瑕疵保証の範囲だ」と強硬に主張され、そのあとはキツイネゴになりました。

プロセス設計は、3号機の増強の時に、受注までの積算を担当しました。 工事中に、何度か現場を訪問しましたが、松坂牛は高価なのでアメリカ産牛の焼肉を食べていました。

その後、停電時などの緊急停止時に使用される排ガススクラバーについても受注し、これは私が最後までプロセス設計を担当しました。

外資系であり、結構ネゴは厳しいですが、大変良いお客様でした。 いつも感心させられるのは、メンテナンスと掃除が行き届いていること。
硫化ニッケルを焙焼していますので、粉塵で汚れそうなものですが、装置は皆粉じん対策がなされておりますし、漏れが生じそうな個所を発見すると即刻修理します。 塗装が劣化していると、すぐに塗りなおすので、プラントはいつまでも新品同様の外観になります。
きれいなので、新しいお客から「御社の作った硫酸プラントを見たい」という要望のあるときは、いつもこちらにお願いして見学させていただいておりました。
岡山県のユーザーの場合、見学の後「いやあ、先週見た九州の設備があまりに汚かったので、硫酸設備そのものを諦めようかと思っていました。 きちんとメンテすればきれいなプラントになるということが分かりました」と感心しておられました。

表題の下の写真をご覧ください。 これは、私が現役時代のエンジニアリング会社のカタログ用に撮影させていただいたものです。 お客にこのカタログを示して説明していますと、「これはミニチュアの写真ですか?」と聞かれたこともありました。 余りに整然としているので、稼働している設備に見えなかったのでしょうか。
プラント建設体験−7
ホーム
概論
製造プロセス
設備新設
増強・改造
機器更新
メンテナンス
運転
各種硫酸製造法
耐食材料
物性データ
計算
安全
トラブル事例

プラント建設体験 関連技術
資料
ご質問・お引合い
良くある質問(FAQ)
リンク

ちょっと一言
  関連サイト: パーツトレード
 プロフィール  サイトマップ  プライバシーポリシー  更新履歴
 リンクフリーです。 内容の転載につきましてはご一報ください。  All rights reserved to Tsunetomi Ono.