硫酸技術   by T.Ono
 各種硫酸製造法-1 
 
Assembling Absorbing Tower of purified sulfuric acid plant
工業用硫酸の種類:
工業用硫酸には、以下の各種があります。(「概論」「種類と規格」参照)
1.濃硫酸
2.希硫酸
3.発煙硫酸
4.精製硫酸
5.半導体用高純度硫酸


以下に、それぞれの製造・貯蔵方法について述べます。
1.濃硫酸
規格の上では、「濃硫酸」とはH2SO4 = 90%以上のものを言います。
もっとも多く流通しているのは98%H2SO4(実際には98.3%〜98.5%)ですが、冬季は凍結を防ぐために95%にして取引されています。
製品濃硫酸は、通常は吸収塔の循環酸の一部からバイパスして得られます。
冬季の95%硫酸は、硫黄燃焼式であれば乾燥塔の循環酸からバイパスしてもかまいませんが、硫化鉱石や脱硫SRGなど、その他の方式では乾燥塔をSO2ガスが通るため、循環硫酸中のSO2濃度が高くなってしまいます。 これを避けるためには、

@製品は吸収塔循環酸の一部を希釈して95%とする
A乾燥塔循環酸を空気による脱却塔を通して硫酸中のSO2を追い出す

のどちらかの方法が必要です。

このサイトは、この「濃硫酸」の製造法について述べています。
よって、個々の機器設計の情報につきましては、それぞれのページを参照してください。
→「設備新設」など
2.希硫酸
濃硫酸を希釈して生産します。 工業用、精製硫酸ともにあり、62.5%、70%、75%などがあります。
これらは、濃硫酸の希釈設備を持たないユーザーのために、メーカーがサービスとして希釈するものです。

製造方法は、一定の流量に調節された濃硫酸と希釈水を、テフロンライニングのチーズ部分にて混合し、後続のスタティック・ミキサーでより十分に混合したのち、直結したシェル・チューブ式の酸クーラーにて冷却します。

濃硫酸 → →
          ↓
           → ミキサー → 酸クーラー → 希硫酸
          ↑
希釈水 → →

酸クーラーとしては、テフロン製又は不浸透黒鉛製が使用されます。

スタティックミキサー部分での混合が不十分で、後続の酸クーラー内で発熱してしまうことがままありますので、ミキサー部分の長さは十分余裕を持つことが必要です。

又、製品の濃度によっては、希釈熱により製品希硫酸が沸騰し、泡のためにクーラーでの冷却が不十分になることがあります。 このようなときには、ミキサーとクーラーを2段に設けて、混合と冷却を逐次行うようにします。
→「希釈計算

2段冷却の要否は、事前に希釈熱と製品の比熱から計算して確認しておきましょう。

製品希硫酸は、工業用、精製ともにダイライト(ポリエチレン)製のタンクに貯蔵します。
3.発煙硫酸
濃硫酸に更にSO3を吸収させたもので、遊離SO3 = 22%、25%、28%があります。(注1

製造方法は、硫酸製造設備において、吸収塔の前に吸収液として発煙硫酸を循環する「発煙塔」を設置し、これに転化器からのプロセスガスを通じて、ガス中のSO3を吸収させます。  排気は吸収塔に送ります。
内径は乾燥塔、吸収塔と同様にフラッディング速度から計算できます。 充填高は、吸収塔並みとしますが、発煙硫酸自身のSO3分圧が高いため、入口ガス中のSO3の吸収率は高くならず、50%程とみておきましょう。 

発煙塔は、吸収塔と同様の充填塔ですが、発煙硫酸の炭素鋼に対する腐食性は濃硫酸のそれよりずっと小さいため、塔内面は耐酸煉瓦でライニングする必要はなく、炭素鋼やステンレス鋼のままです。
充填物は耐酸磁器とします。
循環ポンプは、SCS14製のキャンドポンプが良いでしょう。
酸クーラーは、従来は炭素鋼製やステンレス製のイリゲーションクーラーが使用されていました。 これらの代わりとしては、SUS304製のスパイラルクーラーやシェル・チューブ熱交換器が使用可能です。 溶接タイプのプレートクーラーも使われていますが、バイトン製のガスケットは頻繁に交換する必要があります。

特記しておいてほしいのは、テフロンは発煙硫酸中のSO3の浸透を許しますので、使用は勧められないということです。 これは、ガス状のSO3においても同様です。

製品発煙硫酸は、炭素鋼製の製品タンクに貯蔵しますが、大気に開放しますと濃い白煙を発生しますので、密閉して吸気はシリカゲル層を通して乾燥し、常時排気を吸引して除害塔などへ送って処理します。
勿論、タンクが吸引配管が閉塞して負圧により圧壊することを防ぐために、タンクには非常用のブリーザー弁を備えておきます。

注1: 日本ではほとんどないようですが、35%、64%といった高濃度の発煙硫酸も製造されているようです。 これらは、SO3分圧の関係で転化器出口ガスから直接製造することはできません。 まず〜28%発煙硫酸を作り、これから蒸留などの方法でSO3ガスを発生させ、これを〜28%発煙硫酸に吸収させることにより製造します。
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