硫酸技術   by T.Ono
 耐食材料-3
金属材料:

 高ニッケル合金:

 メーカーごとに多種多様な合金がありますが、硫酸で多く使用されているのは
1)Hastelloy-Cグループ
2)Carpenter-20(Alloy20)
3)ポンプメーカーが開発したもの(Pilometなど)
 以下、説明します。

 1)Hastelloy-Cグループ
米国 Haynes International Inc.の開発した耐食合金です。 当初はただの"C"でしたが、
 その後いろいろな種類が開発されています。
 
 濃硫酸によく使用されているのは
   C276
   C22

 の2種です。
 (Haynesのホームページでは「B3」というのも硫酸に耐食性があるとありますが、これは
  元来耐HCl用のようです)
C276:

成分は
Ni 57, Cr 14.5-16.5, Mo 15.0-17.0, W 3-4.5, Fe 4.0-7.0, Co≤2.5, Si≤0.08,Mn≤1.0, C≤0.01, V≤0.35
塔循環酸用プレートクーラーに広く使用されています。
Haynesのカタログによりますと”溶接加熱部における粒子析出を防ぐことにより、溶接後の処理なくして高度の耐食性を有する” ”局部腐食と、酸化性、還元性物質に耐える”とあります。 →Haynesのカタログ C276

先ほど「金属材料は、程度の差こそあれ時間とともに腐食される」と述べました。 C276も例外ではありません。 プレートクーラーでは、酸の入り口部が一番早く腐食されます(温度が一番高いから)。
それ故、数年使用したのちには、開放して点検する必要があります。 又その際、酸の入り口と出口を逆にすることもクーラー全体の寿命を延ばすのに役に立ちます。 →「メンテナンス」「酸クーラー」
C22:
成分は
Ni 56, Cr 22, Mo 13, W 35, Fe 3, Co≤2.5, Si≤0.08, Mn≤0.50, C≤0.010, V≤0.35

これもプレートクーラーに使用されているようです。
Haynesのカタログでは、”C276より耐食性に優れている” ”特に孔食、隙間腐食、応力腐食割れに強い耐性がある”と述べられていますが、同じカタログ中の硫酸に関する濃度-温度-腐食量のグラフを見ますと、98%H2SO4においてはあまり差があるようには見られません。 →Haynesのカタログ C22
2)Carpenter-20 (Alloy 20)
米国 Carpenter Technologies Corp.により開発されたもので、成分は
 Ni 34, Cr 20, Mo 2.5, Cu3.5, Fe balance, Nb≤1(≥C*8), Si≤1, Mn≤2, C≤0.06

Hastelloy-C22と同様に”孔食、隙間腐食、応力腐食割れに強い”と謳われていますが現在では塔出口のワイヤメッシュデミスターに使われている程度のようです。
3)ポンプメーカーが開発したもの(Pilometなど)
(株)松田ポンプ製作所のPilomet、米LewisのLewmetなどは、耐硫酸ポンプ用材質として開発されたものです。
しかしこれらも、硫酸の温度、濃度以外の「不純物」により腐食されることがありますから注意が必要です。

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