硫酸技術   by T.Ono
 耐食材料-4
金属材料:

 タンタル
タンタルは、100℃以下の濃硫酸ではほぼ完全な(腐食量=0)耐食性を示し、200℃以下では実用上問題ない耐食性を示します。
ただ、非常に高価なため、硫酸設備では特殊で少量使用される部分、例えば隔膜式圧力液の隔膜などに使用されています。

又希硫酸を加熱濃縮して濃硫酸を製造する設備における濃縮缶にもライニング材として使用されます。

ただし、発煙硫酸には低温でも腐食されますので注意が必要です。
 鋳鉄
かって、鋳鉄は濃硫酸用の配管材料及び耐酸ポンプの材料として広く使用されていました。
(発煙硫酸には、鋳鉄中のケイ素分が酸化されてSiO2となり、これが膨らんで素材自身を割ってしまうため使用できません)
安価で低温の濃硫酸にはそれなりに持ちますが、鋳鉄独特の「ス」の問題で、ある日突然硫酸漏れ事故を起こしたりします。
鋳鉄の製造は、典型的な3K作業ですので、早い時期から海外の下請けに生産が移行されており、品質の維持も難しくなっているようです。

濃硫酸用として、Siを15%前後含んだ高ケイ素鋳鉄と、Crを1%弱含んだ低クロム鋳鉄がありましたが、現在はほぼすべてステンレス鋼や高ニッケル合金、テフロンライニングなどに代替えされています。
高ケイ素鋳鉄は、現在でも電解設備の電極には使用されているようです。
 
鉛も、硝酸式硫酸時代には広く使用されていた材料です。
希硫酸には耐食性がありますが、濃硫酸には溶けますので使用できません。

接触式硫酸でも、硫黄原料以外のガス精製設備の希硫酸部分(ミストコットレルのケーシングなど)には使用されていましたが、これもFRPやその他の有機材料に取って代わられました。 やはり価格と、重量が大きくなることが問題のようです。

需要の減ったことにより、作業をする職人そのものも減少しました。 鉛は、硫酸工場以外では原子力発電所の遮蔽材としての用途がありますので、そちらではそれなりに職人もいるようですが、今回の事故の影響で、また減るでしょうね。

鉛に3~12%のアンチモンを加えて硬度を増した硬鉛もポンプや冷却塔の分散管などに使われていましたが、これも今はほとんど見なくなりました。
鉛、硬鉛共に、現在はテフロンやPPなどのプラスチックスやセラミックスに置き換えられています。
 その他の金属:
その他の金属で、濃硫酸に十分な耐食性を有するのは金、白金くらいです。
白金は、かっては鉛室などの硝酸式設備において希硫酸のスプレー用として使用されていたようです。 (時々盗難にあったそうです)
その他の金属は、濃硫酸に対してはほぼすべて「使用不可」と記憶しておいて差し支えありません。
希硫酸に対しては、チタン、ジルコニウムなど耐食性のあるものもあるようですが、高価故ほとんど用いられておりません。

耐食材料-5
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