硫酸技術   by T.Ono
 耐食材料-5
無機材料

 耐酸磁器
耐酸磁器は、煉瓦として塔やポンプタンクなど硫酸と直接接触する部位のライニング材や、インタロクスサドルなど塔充填物に使用されています。
成分的には、食器用の磁器(有田など)と同じと考えてもいいものです。 そういえば、耐酸磁器のトップメーカーである岩尾磁器工業(株)は有田にあります。 元来、食器などの陶磁器メーカーであったようです。
濃硫酸、希硫酸にほぼ完全な耐食性があります。 筆者の経験では、50年余使用された耐酸煉瓦も、外見上はまったく新品と変わりありません。
最近は国内に良質の陶土が減ってきたとのことで、品質も昔のものよりやや落ちているように思えます。 煉瓦の色は、昔のものは完全な白色でしたが、最近のものは薄い赤褐色を帯びています。 不純物に起因するものではないかと考えられます。
煉瓦は半永久的に使用が可能ですが、施工時に使用される目地材は硫酸には侵されます。 この目地材の隙間から硫酸が煉瓦の裏に回り、ケーシングの炭素鋼を腐食することによりケーシングが損傷されます。 これを防止するために、近年は煉瓦とケーシングの間にテフロンシートを張ることが行われています。
→「機器更新」「乾燥塔、吸収塔」参照

耐酸磁器の規格としては、下記のJIS、及び岩尾磁器工業(株)のカタログを参照してください。

JIS R1501 化学工業用耐酸磁器の一般通則
JIS R1503 化学工業用耐酸磁器の試験方法
JIS R1528 化学工業用耐酸磁器充填物
JIS R1536 化学工業用耐酸耐熱煉瓦

耐酸磁器メーカーとしては、日本ガイシ(株)もあります。

この他、最近では中国製の耐酸煉瓦も出回っていると聞きますが、私はまだ使ったことがありません。
 ガラス
ガラスも、希硫酸、濃硫酸の双方にほぼ完全な耐食性があります。 (特に、硬質ガラス=ホウ珪酸ガラスの場合)
ただ、衝撃に弱く壊れやすいので、そのままで使用されることはまれです。
肉厚のものが配管途中のサイトグラスに使用されます。

又、熱膨張率を下げることにより熱衝撃性を改良した耐熱ガラスは、精製濃硫酸製造用の吸収塔に使用されています。 これは、コーニング社のパイレックスが有名です。
ただ、高価なため、最近は後述のグラスライニングに置き換わっています。
 グラスライニング(GL):
ガラスを鋳鉄、炭素鋼やステンレス鋼の内側にライニングすることにより、機械的強度と耐食性を維持するようにしたものです。
配管の場合、ガラス管を加熱したのち金属管に挿入し、内側から圧力をかけて密着させたものと、金属管の内側にガラス質の釉薬を被せて焼き付けたものがあります。
大きな容器などではもちろん後者の方法により製造します。 これは、むしろ「琺瑯」と呼ぶべきものでしょう。

濃硫酸に対する耐食性はもちろん、金属の溶解による硫酸の汚染も防げますので、石英ガラスの代わりに精製濃硫酸の製造装置に使用されます。

焼き付け法の場合、まれにピンホールのあることがありますので、完成時には必ずピンホールテストを実施する必要があります。
又、機械的強度に優れるとはいえ、打撃などを与えるとライニングのガラス質が剥離する恐れがありますので、このような打撃は禁物です。
急に高温の液を入れるなど、熱衝撃によってもガラスが剥離することがありますので注意が必要です。

同様の用途のものとして、テフロンライニングがありますが、グラスライニングのほうが耐熱性に優れており、より高温の用途に使用されます。 沸点まで大丈夫ではないでしょうか。

硫酸以外の化学品では、ガラスですのでアルカリには弱く、又フッ素には激しく侵されますので燐酸は使用が困難です。 高温の水蒸気にも侵されます。
現在は、対アルカリ用、対水蒸気用などの特殊なものもあるようですのでメーカーに相談してみてください。

メーカーとしては、下記があります。
(株)神鋼環境ソリューション
日本ガイシ(株)
八光産業(株)
AGCテクノロジーソリューションズ(株) -挿入式GL配管のみ
 抗火石
これは、溶岩が固まってできた軽石の一種であり、伊豆諸島の新島産のものが従来より使用されています。
軽く(比重1.2~1.4)、加工が容易でかつ耐酸性がありますので、硫黄燃焼式以外の設備におけるガス精製部分に用いられます。
硫酸以外の用途では、耐火性にも優れていますので、煙突の耐酸ライニング材として使用されています。 一般の住宅用建材としても使われています。

メーカー兼施工業者としては、抗火石工業(株)、新島物産(株)があります。
耐食材料-6
ホーム
概論

製造プロセス
設備新設
増強・改造
機器更新
メンテナンス
運転
各種硫酸製造法
耐食材料

 始めに
 参考資料
 金属材料  無機材料  有機材料 物性データ
計算
安全
トラブル事例

プラント建設体験
関連技術
資料

ご質問・お引合い
良くある質問(FAQ)
リンク

ちょっと一言
  関連サイト: パーツトレード
 プロフィール  サイトマップ  プライバシーポリシー  更新履歴
 リンクフリーです。 内容の転載につきましてはご一報ください。  All rights reserved to Tsunetomi Ono.