硫酸技術   by T.Ono
 機器更新−2
 
硫黄タンク
溶融硫黄の貯蔵タンクは、通常炭素鋼製のコーンルーフタイプです。
このタンクは、特に天井板の腐食が顕著です。 これは、硫黄中に含まれる微量のH2Sが空気中のO2により酸化されて希硫酸が生じるためと思われます。
この対策として、天井板のみSUS304に替えることは効果があるでしょう。

加熱用蒸気は、必ず胴低部より導入し、蒸気配管は常に溶融硫黄に隠れているようにしましょう。 硫黄表面にできる希硫酸による腐食を避けるためです。

タンク内部温度のセンサーは、上下2か所以上に設置が必要です。

十数年に一度、タンクの掃除が必要になるかもしれません。 この時、内部の硫黄をできるだけ排出できるように、通常時の硫黄出口より低い位置にドレン抜き配管を設けておきましょう。
タンク内部の硫黄や底にたまったスラッジの除去は、まことに困難です。 着火しないように散水しながら、固結した硫黄を削岩機などで粉砕して取り出さないといけません。 廃棄物は、可燃性ですので処分が困難ですが、小名浜精錬などのリサイクル会社では有料で引き取ってくれるようです。

タンクからの排気は、単純に大気に放出されていることが多いですが、わずかとはいえH2SやS蒸気が含まれています。 環境に配慮して大気放出はやめ、吸引・吸収除去しましょう。
この吸引ダクトは、Sの析出による閉塞を防ぐために、スチームトレースが必要です。
排気は苛性ソーダにより洗浄して、H2SとSを吸収します。

硫黄タンクは自ら設計して、製缶業者に現地製作させます。
硫黄ポンプ
更新が必要な場合は、スチームジャケット付キャンドモーターポンプがお勧めです。 接液部はSUS304です。 浸漬型その他のタイプに比べ、イニシャルコスト、メンテナンスコスト共に低下します。
メーカーとしては、下記があります。
(株)帝国電機製作所
日機装(株)
硫黄燃焼炉
炭素鋼+耐火・断熱煉瓦張りの硫黄燃焼炉では、燃焼時に副生したSO3に起因するH2SO4により炭素鋼製ケーシングが内部から腐食され、硫酸鉄による圧力でケーシングが変形してきます。 膨れたり、穴が開いたりします。 (炉の寿命は20〜25年)
更新時はケーシングをSUS304にするとか、断熱煉瓦とケーシングの間にテフロンシートを張るなどの対策を施すことをお勧めします。

回収エネルギー増加で燃焼ガス温度が上昇するときは、煉瓦の耐火度を検討しておきましょう。
炉内部の煉瓦が溶融していたりする時は、火炎が直に当たっている可能性がありますので、バーナーの位置を検討しましょう。

初期の硫黄燃焼炉は、熱負荷(炉容積あたりの燃焼熱量)を小さく、余裕のある設計になっています。 運転を続けている間に、どの程度まで燃焼量をアップできるか、トライしておきましょう。 熱負荷を上げれば、炉を小さくできますのでコスト減になりますが、むやみに小さくすることは未燃焼硫黄を生じたり、煉瓦を損傷させたりする恐れがありますので、限度があります。

パルプ工業の盛んな北欧では、サルファイトパルプ用のSO2発生源としての硫黄燃焼装置の開発改良がなされており、燃焼空気を胴壁から接線流に導入する高効率のタイプが硫酸工業用にも利用されています。 炉容積は従来のものの1/2以下ですし、バーナーガンも小型で、短時間に交換が可能になっています。
排熱ボイラ
特に硫酸用のボイラとして、技術開発がなされているわけではありませんが、水管式・煙管式にこだわらずに選定されることをお勧めします。 石油回収硫黄の燃焼ガスはクリーンなので、ボイラとしては単純になります。
ボイラメーカーはどこでも構いませんが、硫酸設備用ボイラの経験のあるメーカーを推奨します。 重油燃焼のボイラと異なり、硫黄燃焼式硫酸設備はボイラ内ガス圧力が大気圧より高いため、ガスシールには十分な注意を払わなくてはなりません。

蒸気の圧力は、SO3に起因する硫酸の露点腐食を防ぐため、2.3MPa以上としましょう。

ガス入口部は高温や輻射熱により特に損傷しやすいので、水管であればダミーチューブをかぶせるとか、煙管であればセラミックス製マウスピースをかぶせるなどの対策をとるよう、メーカーに指示しましょう。
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