硫酸技術   by T.Ono
 機器更新−3
 
転化器
転化器を丸ごと更新するということは、ごく稀なケースだと思います。
ただ、従来の転化器は炭素鋼製なので、定期修理で冷却されるたびに、運転中に高温酸化されていた壁の酸化層がスケールとなって剥がれ落ちてきます。 これにより、年と共に肉厚が減少します。
(設置後40年の転化器を丸ごと更新した際に、各層間の仕切り板=ディビジョン・プレートが薄くなり、穴があいていたことがありました。 内部なので開放しない限り発見できなかったわけです)

特に温度の高い第1層及び同出口の壁などは酸化座屈が起こりやすくなりますので損傷が激しくなりがちで、、第1層と2層のみを更新した例もあります。

更新の場合は、胴板もSUS304に替えましょう。
古い転化器はほとんどが炭素鋼製です。 触媒層の高温から保護するために、第1層に接する部分には耐火煉瓦を内貼りしている例がありますが、SUS304に更新する場合は、このような保護は不要となります。

又、古い転化器はタブレット型の触媒故に、空塔速度が遅くなっていますので、リング触媒などを使用して通風抵抗を減らし、直径を小さなものにしましょう。
触媒メーカーに通風抵抗を計算させ、直径をどこまで減らせるかを検討してください。

長期に使用した後の転化器の基礎は、熱でコンクリートが損傷していたりアンカーボルトが損傷していたりすることが有ります。 このような場合は、本体の更新に合わせて、基礎も更新しましょう。
触媒
昔は円柱状や球状でしたが、近年のものはリングとかデイジーとか呼ばれる、いずれも中心に穴の開いたものが主流です。 これは、触媒活性はそのままで通風抵抗を大幅に減らせるというもので、広く使用されています。

この他、セシウムを加えることにより、360〜410℃の低温で高活性を維持するものがあります。(バナジウムのみの場合は、430℃以上が必要) これは、入口ガスの温度を下げることにより、回収エネルギーの増加やSO2転化率の向上を図れるものです。 その他、ガス熱交換器が小さくて済む、臨時停止時の再スタート可能時間が長くなるなどの利点もあります。 価格的にはバナジウムのみの触媒より高価になります。

よりバナジウム含有量を上げて、高SO3濃度下での転化率の向上達成を可能にすると謳った触媒もトプソー社から発売されています。

いずれにしましても、触媒を変更する場合は、触媒会社に下記のデータを与えて触媒の量と各層の転化率、及び各層入出口温度の最適値を計算させます。 同時に、各層の通風抵抗も計算させましょう。
  • 転化器入口ガス流量
  • 同上 ガス組成(SO2、O2、N2など)
  • 同上 ガス圧力
  • 転化器直径
  • 段数
  • SO2ガス吹き込み、空気吹込みなどがある場合はその流量と温度
  • ダブルコンタクトの場合は、中間吸収塔へ送るのは何段か
  • 最終転化率のミニマム
生産量に変動がなく、ガス熱交などを変えたくない時には、各層の現在の入口出口温度を与えて、転化率を逆算させることもできます。
日本国内の硫酸触媒メーカーの支社、連絡先のサイトを下記に示します。

  モンサント触媒
  トプソー触媒
  クラリアント触媒(旧ズードヘミー触媒)

最近の情報ですが、既設の転化器で低通風抵抗の触媒に変えた後、ガスの偏流が起こる傾向があるとのことです。 そういう傾向が発見された場合は、抵抗が以前と同じレベルになるように、触媒層の断面積を減らすなど、触媒層の通風速度を早くする改造を考慮されることを勧めします。

触媒を全部取り替えなくても、通風抵抗が増加しているときは、触媒がダストなどで目詰まりしている可能性があります。 定期修理時に取り出し、篩分けをしてダストを除去しましょう。
又、転化率が落ちているときは篩分け後に新しい触媒を補充しましょう。

当方でも触媒購入のお手伝いができますのでお引合い下さい。 「個人企業は不可」であれば、知り合いの商社を通じて供給します。

ところで、更新した時に出てきた廃触媒はどうしましょうか?
これは、引き取ってバナジウムを回収する会社がありますので、そちらに頼むのがいいでしょう。 ただし、有償です。
新興化学工業(株)などがあります。
ガス熱交
転化器回りのガス熱交換器は、Shell/Tube typeです。 従来のものは炭素鋼が主体ですが、頻繁に指導・停止を繰り返すような設備においては、高温酸化によるスケーリングや閉塞を避けるため、最低伝熱管と上部チャンネルカバーはSUS304にて製作することをお勧めします。
触媒の変更などで転化器系の通風抵抗に余裕のできた時は、チューブ間隔を小さくするなどして伝熱係数を上げ、より小さなサイズにトライしましょう。
総括伝熱係数は、多管式熱交換器における管内、管外の境膜伝熱係数をそれぞれ計算し、適当な汚れ係数を見て算出します。

実際に計算してみると分かりますが、

1.チューブ本数を減らす → 管内ガス流速が上がる → 管内境膜伝熱係数が上がる
2.チューブ間隔を狭める → 管外ガス流速が上がる → 管外境膜伝熱係数が上がる
3.バッフル間隔を狭める → 管外ガス流速が上がる → 管外境膜伝熱係数が上がる

これらの対策により、熱交換器は小さくなり、安価となりますが、管内、管外のガス流速の上昇は、通風抵抗の増加を意味します。 境膜伝熱係数は流速の0.8条(管内)又は0.6条(管外)に比例します(McAdamsら)が、通風抵抗は流速の2乗に比例しますので、注意が必要です。

総括伝熱係数は15〜20kcal/m2/hr/℃、通風抵抗は管内管外とも1.5kPa以下を目安にします。
ガスダクト
転化器回りガスダクトでは、特に第1層出口のように600℃を超えるような部分は、SUS304にしておきましょう。
転化器、熱交、ダクトなど、炭素鋼からSUSに変更したときは、伸びが大きくなりますので、転化器回り全体の熱応力と変形量を計算しておきましょう。
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