硫酸技術   by T.Ono
 機器更新−4
乾燥塔、吸収塔
古い乾燥塔、吸収塔は、特に塔底部や胴部の炭素鋼ケーシングが硫酸により腐食し、生成した硫酸鉄で膨れたり穴が開いて酸漏れ事故を起こしたりします。

更新時には下記の改善余地があります。
  1. 充填物のせいで空塔速度が小さく、大きな直径を有するものは、充填物をスーパーインタロクスサドル(SIS)に替えることにより、通風抵抗を増やすことなく径を小さくできます。
    塔径の小さなものは#2SIS、大きなものは#3SISを充填します。
  2. トレーアンドトラフのような複雑な酸分散装置から、多孔分散管などのシンプルなものに替える。 分酸管の材質は、SUS+ETFEライニングとします。  メーカーによっては、管の両面をライニングできますので、この時は内部は炭素鋼でもよろしいかも。
  3. 硫酸鉄によるケーシングや底板の腐食を防ぐため、炭素鋼製ケーシングと耐酸煉瓦の間にテフロンシートを挟む。 又は、ケーシングをSUS304とする。
3.の代わりに、塔全体をZeCorSandvik SXのような耐硫酸金属とする方法もありますが、塔全体の設計・製作をメーカーが実施することが前提なので、コスト的に耐酸煉瓦張りの塔との比較になります。 金属製にすることにより、重量が軽減されますが、寿命の点ではまだ明確ではありません。 いずれも高級ステンレス合金なので、硫酸の濃度や温度により耐食性が微妙に異なるようです。 (発煙硫酸のできる条件では腐食が多く、問題を生じた例があるとも聞いております)

炭素鋼+耐酸煉瓦の従来の塔でも、更新までの寿命が35〜45年あることを考えますと、コスト的に有利であれば上記3.の方法でも十分と思われます。

ZeCorのメーカーであるMECSでは、酸分散装置も独特のUnifloを使用して、充填高さを下げることができるのもメリットである、と主張しています。 彼らは材料のみの供給はせず、塔一式を設計込みで販売するというポリシーだそうです。
MECS(日本)

実際の更新作業は、可能な限り運転停止期間を短くするため、既設とは別の位置に新しい塔を建設し、運転停止期間の作業はガスダクトと酸配管の切り替えだけで済ませるべきです。
場所がなく、同じ位置に建設するときには、十分実現可能な工程を組む必要があります。

既設の塔は、腐食により底板、胴板などの強度が不足していますので、重機で釣り上げて取り除くことができず、現地で解体さざるを得ない可能性が大です。
現地解体作業は、塔内部に小型のユンボを入れ、塔上にウィンチによる運搬手段を設けて、

充填物の取出し→壁煉瓦の解体

の作業を繰り返します。
煉瓦や充填物に硫酸が付着していることが多いので、ゴーグルやゴム手袋など、十分な安全保護具の着用は必須です。
新しい塔は別置きで組み立てておき、耐酸煉瓦も張り終えた後、クレーン車で吊り入れることができれば期間短縮は可能です。
このやり方で200T/D設備の吸収塔を更新したときの全工期は9日間でした。

(最近は、中国製の耐酸磁器も輸入されているようですが、長期にわたって使用が可能かどうか? 残念ながら、私にも不明です)
ポンプタンク
乾燥塔、吸収塔と同様に、硫酸鉄による変形や腐食が生じますので、更新時には炭素鋼製ケーシングと耐酸煉瓦の間にテフロンシートを挟む、又は、ケーシングをSUS304とすることでより寿命の長い設備にできます。
これも、ZeCorやSandvik SXに交換することができます。
塔よりは小さいので、更新作業は比較的簡単です。
機器更新−5
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