硫酸技術   by T.Ono
 機器更新−5
酸クーラー
従来はイリゲーションクーラーが多く使用されていました。
これは、鋳鉄製やステンレス製の直管を水平に何段か直列に積み重ね、硫酸を管内に流しながら管外に冷却水を注いで冷やす方式です。
単純で増設が簡単、といった利点はありますが伝熱係数が小さい故場所を取り、多量の冷却水を要し、蒸気による金属構造物の腐食や環境問題を起こしますので順次他の方式に変更されています。

代替えとしては下記があります。
  • プレートクーラー
  • スパイラルクーラー
  • テフロンクーラー(タンクコイル式)
  • テフロンクーラー(シェル/チューブ式)
  • シェル/チューブ式クーラー
これらの得失を比較してみます。

1.プレートクーラー
0.7mmのHastelloy-C(276,22)製薄板の両面に、硫酸と冷却水が流れます。 総括伝熱係数が1500〜2500kcal/m2/hr/℃と大きく、大変小さく場所を取りません。
プレートを開放すれば点検・清掃が容易です。
同じ能力で比較しますと、最も安価になりますのでよく使用されています。
ただし、高温の硫酸入口部分のプレートは徐々に腐食されますので、吸収塔用では5年ほど経つと点検を要します。
運転時、入口硫酸温度は90℃を越えますとHastelloy-Cといえども腐食が激しくなるので、酸温はこれ以下に保つ必要があります。
私もこれが一番お勧めですが、開放点検の際にはフッ素ゴム製ガスケットを更新せねばならず、これが高価なことで嫌う方もいらっしゃいます。

2枚のプレートを溶接し、内側に硫酸を、外側に冷却水を通す「溶接タイプ」のものもあります。 これはやや高価になりますが、ガスケットが節約でき、お勧めです。

メーカーとしては、国内では下記です。
(株)日阪製作所
アルファラバル(株)

海外にもメーカーは有りますが、硫酸設備での実績は日本では無いようです。
2.スパイラルクーラー
薄いプレートでできた長い伝熱板を、渦状に巻いたものです。 伝熱係数は500〜1000kcal/m2/hr/℃です。 プレートクーラーほど伝熱係数は高くなく、安価にはならないためお勧めできません。
ただ、発煙硫酸用の循環クーラーには、本体のガスケットが不要になりますので、使用しているプラントもあります。
3.テフロンクーラー(タンクコイル式
炭素鋼製ケーシングと耐酸煉瓦でクーラーを収める狭い流路のタンクを作り、この中にテフロンのチューブを束ねたクーラー数基を浸したものです。 硫酸に接するのはテフロンですので、溶出金属による硫酸の汚染がなく製品品質は非常によくなりますが、装置全体が結構大きくなること、長年の使用の後タンク部分が腐食により修理が必要になること(ポンプタンクと同様に、硫酸鉄により膨れたり、酸漏れを生じたりする例が多々あります)、それと最も高価になること(プレートクーラーの〜3倍)から、お勧めできません。
総括伝熱係数は150〜250kcal/m2/hr/℃です。
4.テフロンクーラー(シェル/チューブ式)
内径数ミリの細いテフロン製チューブを束ねて、炭素鋼製ケーシングに収めたものです。 プレートクーラーと同様に場所を取らず、より製品純度が高くなる利点はありますが、コストはプレートのほぼ2倍になります。
工業用硫酸のクーラーとしてはコスト面からお勧めできませんが、製品品質の面から精製硫酸高純度硫酸用のクーラーとしては必須です。

冷却水中の砂とか錆、又は流速により動くチューブ自身により他のチューブが摩耗し、穴が開いたりしますので、注意が必要です。

総括伝熱係数は〜350kcal/m2/hr/℃程度です。

メーカーとしては、国内では下記でしょう。
(株)プランテックス
カンセツ産業(株)
5.シェル/チューブ式クーラー
SUS304製のシェル/チューブ熱交換器で陽極防食を施したものは、外部電源により金属側の電位を不動帯域まで上げてやることにより腐食を防止するものです。
これも場所を取らず良い方法ですが、価格はプレートのほぼ2倍になります。
又、防食もオールマイティーではなく、冷却水中の沈殿物が局部電池を形成して腐食した例がありますので注意が必要です。

同じシェル/チューブでも、MECS社のZeCorを材料にしたものは、材料そのものに耐食性がありますので陽極防食の必要がありません。 ただしこれは、プレートクーラーなどに比較して高価なものになります。
いずれの方式でも、硫酸側の圧力は冷却水側より高くしておくことが必要です。 これは、万一伝熱面に穴が開くことがあっても、硫酸中に水が入ることを防ぐためです。 冷却水のクーラー出口側にはPH計を設けて、漏酸がないか常時監視しましょう。
機器更新−6
ホーム
概論
製造プロセス
設備新設
増強・改造
機器更新 メンテナンス
運転
各種硫酸製造法
耐食材料
物性データ
計算
安全

プラント建設体験
関連技術
資料

ご質問・引合い
良くある質問(FAQ)
リンク

ちょっと一言
 関連サイト: パーツトレード
 プロフィール  サイトマップ  プライバシーポリシー  更新履歴 
 リンクフリーです。 内容の転載につきましてはご一報ください。  All rights reserved to Tsunetomi Ono.