硫酸技術   by T.Ono
 メンテナンス-2
通年実施作業:

1.通風抵抗の監視・記録
燃焼空気又はSO2ガスの流量を監視していれば、通風抵抗の増加は発見・監視が可能です。
硫酸設備には各機器の入口出口の静圧を測定する圧力計が設置されているはずですので、この指示値を常時監視、記録し、機器ごとの通風抵抗とその推移を判定します。
通風抵抗の増加しやすい機器としては、

1)転化器触媒層
2)ガス熱交換器
3)ガス精製系(硫黄燃焼式以外)

があります。 触媒層の抵抗のため生産量が減少するようなときは、次回の定期修理時に転化器を開放し、触媒を篩分けします。
この篩分けが頻繁(2,3年毎)な場合は、原因を調べましょう。 ガスダクトや転化器壁の酸化によるスケール(さび)か、ガスに同伴する成分によるものかにより対策は異なります。

ガス熱交換器の抵抗増加は、チューブ側であれば定期修理時に高圧水を使って洗浄することも可能ですが、シェル側の場合は掃除は不可能で、更新するしかありません。 ガス熱交の抵抗増加時は、チューブが腐食していることが多いものです。

ガス精製系(洗浄塔、ガスクーラーなど)の場合は、状況により充填物の交換や高圧水洗浄などを実施します。

これらのほかに、滅多にはないですが

4)排熱ボイラ
5)乾燥塔、吸収塔

の通風抵抗が増加することがあります。

排熱ボイラは、硫黄燃焼式ではまずこのようなことはありませんが、脱硫硫黄、脱硫回収サワーガスなどの燃焼の場合は同伴するNH3の未燃焼に起因するNH4HSO4や、その他の付着性成分により閉塞が起こります。

乾燥塔は吸収塔で通風抵抗が増加することは、もっと稀です。 これは、生成した硫酸鉄などが充填物の隙間を埋めてしまうもので、対策としては充填物を取り出して洗浄し、再充填するしかありません。
人件費の高い今日では、洗浄するより廃棄して新しいものと取り換える方が安価かもしれません。
2.温度の監視・記録
硫酸設備の運転は、常時定常状態の維持が基本であり、その意味では温度、流量、SO2濃度、H2SO4濃度などの運転データは常に一定になるように調整されています。
ですから、それらが基準の数値から外れて、元に戻らないということは「異常」ということになります。
急激な機器の故障(この場合、温度の異常は急激に生じます)は別として、徐々に温度が基準を離れていく例としては

1)排熱ボイラ伝熱管のスケーリングにより出口温度が上がる
2)触媒の閉塞や劣化により触媒層出口温度が下がる
3)ガス熱交の閉塞やスケーリングにより、ガス出口温度が(上がる/下がる)
4)酸クーラーのスケーリングにより、クーラー出口酸温度が上がる


などがあります。

1)は、硫黄燃焼式設備ではほとんどありません。 もしあるとしたら、給水の水質管理が不十分で、チューブが水側スケーリングを起こしているということなので、大変危険です。 すぐに停止して薬液洗浄などでスケールを取り除かないといけません。

一方脱硫硫黄など、燃焼ガス中に固形分や凝縮性ガスなどを含む場合は、ガス側でのスケーリングによりボイラ出口ガス温度が加速度的に上昇します。 対策としては、運転停止して洗浄・スケール除去作業が必要です。

2)は、特に第1層で発生します。 ガス中に細かいダストが有って触媒層の間隙を塞いだり、壁から大きな錆が落ちて触媒層の表面を覆ってしまったりしますと、ガスの偏流が生じて出口ガス温度は下がります。
これは、定期修理時に転化器を開放して原因を調べ、触媒を篩分け、再充填をしないといけません。
閉塞が無くても、触媒そのものが劣化して活性が失われていると酸化反応が進まないのでやはり出口温度は下がります。 この場合は触媒そのものを入れ替える必要があります。
入れ替えの目安は、私どもは活性が10%低下すれば入れ替えることにしていましたが、生産量との見合いで決めるべきです。
触媒の活性は、定期修理時に開放したときに触媒のサンプルを500mL程度採取してメーカーに送り、活性を測定してもらいます。

3)も徐々におこります。
転化器第1層出口などでは高温酸化によりスケールが発生し、運転停止時に冷却されてはがれ、チューブ間に蓄積します。
逆に低温部では、ガス中のH2Oの除去が不完全な場合などにチューブ側で硫酸ドレンの凝縮が起こり、腐食とスケーリングの原因になります。
硫黄燃焼式以外では、乾燥塔からのガスの入る熱交のシェル側は、硫酸ミストによりスケーリングしやすくなります。

4)は、濃硫酸のクーラーの場合は、スケーリングは冷却水側で起こります。 分解・洗浄が必要です。 

硫黄燃焼式以外でガス精製設備のある時は、これらの希硫酸クーラーでは、同伴ガス中不純物(ヒ素など)に起因するスケールが生じる場合があります。 この場合も、薬液洗浄開放掃除が必要です。
3.転化器各層転化率の測定New!
触媒の経年劣化、触媒層の異常(ショートパスなど)を確認するためには、運転中に転化器各層の転化率を測定する必要があります。
これは、従来はライヒ法、オルザット法その他の化学分析でSO2やO2の濃度を測定していましたが、ガス中のSO3分が邪魔をして正確な結果を得ることは困難でした。
最近、デンマークトプソー社から”TOPGUN”という現場用分析計が紹介されています。 これは、マノメーターなどからガスをサンプリングし、SO2とO2濃度を正確・迅速に測定するというものだそうで、日本ではOTC日本支社が扱っております。

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