硫酸技術   by T. Ono
 メンテナンス-3
通年実施作業:

4.その他運転データの監視・記録
硫酸設備の長期的な異常は、前述の通風抵抗と温度を監視していれば大部分は発見が可能です。 その他のデータは、基本的には標準値に常に保たれておれば問題はありません。

その他のデータで、特に注意が必要なものを以下に挙げます。

1)硫黄流量
  硫黄燃焼炉の出口温度は一定に保つ必要がありますので、硫黄の流量も一定に保たれているはずです。
ただ、硫黄の流量調節弁の開度が継続して増加していたり、逆に減少していたりする場合は、硫黄のスプレーノズルが閉塞しているか、逆に摩耗により穴が大きくなってきているかのどちらかですので、取り外して点検し、交換する必要があります。

2)排気SO2濃度
  排気のSO2濃度が徐々に増加することは、触媒の劣化に伴うものですから仕方がありません。
ただし、急激な増加の場合は、(滅多にないことですが)転化器内部で何か異常が起きた場合(何らかの原因で触媒層が崩れた)や、ガス熱交のチューブに穴が開いて、SO2リッチのガスが後段のガス中に混入した場合など、至急の対策が必要な場合ですから、注意しておきましょう。
5.硫酸ドレン
ガス中の硫酸のドレンは、燃焼用空気が完全に乾燥されていれば本来皆無のはずですが、実際には多少なりとも観測されます。

1)SO2ブロワーのケーシングより(硫黄燃焼式以外の場合等、ブロワーが乾燥塔の後ろにある場合)
2)低温ガス熱交のチューブ側チャンネルカバーより

1)は、ブロワー前段の乾燥塔からの硫酸飛沫によります。 原因としては「乾燥塔ミストキャッチャーの性能が不十分」です。 ミストキャッチャーを、高性能なものに取り換えましょう。
→「設備新設-6 乾燥塔」を参照

ごく稀な例ですが、乾燥塔に吸引している各種ベントに起因する場合があります。
乾燥塔がブロワーの前にある設備では、乾燥塔は負圧なので、いろいろなタンクからのベント類を吸引させていたりするものですが、このベントが例えば発煙硫酸の排気だったりしますと、サブミクロンサイズの硫酸ミストが同伴しますので、これはミストキャッチャーでも除去が困難となり、そのままブロワーにやってきたりします。

2)は、いろいろな原因がありますが、要するに「ガス中にH2Oが含まれている」のです。
この原因としては
  • 硫黄配管に穴が開いていて、ジャケットから蒸気が硫黄に混入している
  • ボイラ伝熱管(エコノマイザー、スーパーヒーター)に穴が開いていて、高圧水や蒸気がガスに混入している
  • 乾燥塔からの酸飛沫同伴
  • 乾燥塔の乾燥能力不足
最初の二つが原因の場合は、大量にドレンが発生しますので、至急設備の運転を停止して原因を追究します。
後の二つの場合は、量的にはわずかですので、原因がどちらかを究明してそれぞれ対策を取ります。
6.乾燥塔・吸収塔出口酸飛沫チェック(スティックテスト)
乾燥塔及び吸収塔の出口には、ガスに同伴する酸飛沫を除去する種々のミストキャッチャーが設置されていますが、これらに異常がないか、定期的に確認しましょう。
簡便な方法としては、昔から行われている「スティックテスト」があります。
これは、25mm角の色白の木の棒を、ミストキャッチャーより後ろのガスダクト全直径に一定時間(2分)挿入しますと、飛沫のある場合は表面に黒い点となって痕跡が現れることにより、飛沫量を定性的に調べるものです。
ミストキャッチャーに何らかの異常がある場合は、棒表面が真っ黒に変色しますし、SO3の吸収が悪い時は全体的に茶色に変色します。
試験中の安全のために、試験者は保護具を着実に着用すること、及び予めテスト用のフランジを用意し、棒の周りからガスが漏れないようにシールしたものを準備して、テスト用のノズル(ボール弁付)にできるだけ短時間に取り付けるようにします。
この方法は、世界的にはまだ実施されているようですが、日本では筆者が若いころに実施されていたようですが現在は途絶えているようです。 しかし、カ簡便にいろいろな情報が得られますので、復活してもよろしいかと思います。
7.回転機器の振動測定
ブロワー、各種ポンプ類など、常時運転している回転機器は、定期的に振動を測定して記録しておきましょう。

1)毎日、現場のパトロールをするでしょうから、その時には軸受を中心に手で触ってみて、異常な振動がないか、異常な音がしないかを確認しておきましょう。
2)各機器ごとに周期(毎月1回程度)を定めて振動測定を実施し、記録しておきましょう。 測定箇所は、軸受が中心です。
3)各機器のマニュアルに、許容振動数が示されているはずなので、それを越えそうなときは、定期修理時に点検、修理しましょう。

振動発生の原因は、インペラーのインバランスです。 羽根の腐食、異物の付着等々のはずですが、深刻な場合は至急の更新が必要になりますので、事前に予備のインペラーを準備するなど、計画を立ててから開放しましょう。
8.排気SOx濃度の測定
メンテナンスと直接のつながりはありませんが、定期的(6カ月ごと?)に排気のSOx濃度を測定をしましょう。 (自治体の指導で、義務付けられていることも多いようですが)
環境への配慮とともに、「その他データ」で述べましたように、触媒の劣化の監視にもなります。
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