硫酸技術   by T.Ono
 メンテナンス-4
通年実施作業:

9.ガス漏れ箇所の確認
硫酸設備は、本来入口と出口以外は完全密閉ですから、ガス漏れがあるはずがありません。
しかし、工場へ行きますと何となく「SO2臭いなあ」と感じるものです。

このガス漏れ箇所ですが、どこから出ているかきちんと確認して、対策を取らないといけません。
転化器以降ですと、ガス中にSO3が含まれるため自ずから白煙となり、場所の特定は容易です。 しかしそれより前ですとSO2しか含まれていませんので、よく分かりません。
このようなときには、番線の先にウエスをしばりつけたものにアンモニア水を染み込ませたものを用意します。 ガス漏れが疑われる場所に近づけますと、SO2が漏れていれば真っ白の煙になりますのではっきりとわかります。

漏れ箇所を確認できれば、パチ当て、コーキングなどの応急手当で漏れを止めておき、定期修理時に完全に修理します。
ガスダクトからのガス漏れの場合は、周辺部が全体として腐食により薄くなっていることが考えられますので、肉厚測定をして、必要範囲を多めに更新しましょう。

ガスダクトや機器本体以外では、弁類のグランドパッキンやSO2ブロワーの軸シールから漏れる場合があります。
グランドパッキンは、一時運転停止して更新しましょう。
SO2ブロワーの軸シールの場合は、シールが不良になっているか、パージ空気が不足しているのか、原因を突き止めて対策を取りましょう。
10.酸漏れの予防・確認・修理
硫酸工場は、(特に古い設備ほど)酸に接する部分に金属材料を使用していますので、酸漏れ事故は「必ずある」といっても過言ではないでしょう。

事故を予防するためには
「なるべく長寿命の機器に取り換える」
こととしましょう。 →「機器更新」参照

 ポンプ → ノンシールタイプに
 クーラー → プレート、テフロン(シェル・チューブタイプ)などに
 配管、弁 → テフロンライニング(高温部)、SUS316(低温部)

テフロンクーラー、プレートクーラーなど冷却水側も密閉されている機器の場合は、酸側の圧力を冷却水側より高くしておき、冷却水下流にPH計を設けておくことにより酸漏れの検出が可能です。

酸漏れを発見したときは、即時運転を停止して修理・交換する必要があります。 ただ、修理のために長期の運転停止が必要になりそうなときは、応急処置で一旦酸漏れを止め、定期修理時に恒久修理を施します。

応急処置としては、溶接が可能であれば、鋼板をパチあて溶接するのが最も簡単です。 応急修理個所は、毎日点検し、再度漏れ出さないかを監視しておきましょう。

耐酸煉瓦張りの塔槽類では、軟鋼製ケーシングが腐食生成物のために膨らんできますと、ケーシングそのものの肉厚が減っており、いずれ酸漏れ事故につながります。 膨らんできた場合には、肉厚測定などで更新・修理時期を予定しておきましょう。
11.異常機器・配管の修理交換
運転中に機器の異常を発見した場合、修理や交換が必要です。
この場合、

1)運転停止するかしないか
2)定期修理まで待てるか待てないか

を判断して対処する必要があります。

硫酸工場はできるだけ停止せず連続運転を維持するのが原則です。 それ故長期間の運転停止が予想される場合は、できるだけ応急処置で済ませて定期修理まで持たせるべきです。 ただし、環境上や安全上の危険がある場合は、ためらわず長期停止して修理することを計画しましょう。
12.予備品の考え方
メンテナンスには、予備品は不可欠です。 しかし、むやみやたらに在庫を増やすのは、利益を圧迫する要因になります。
私の予備品に関する考えは以下です。

1)ブロワーは軸受2セット(1基分)のみを持っておく
2)塔循環ポンプは、できるだけ同じ仕様とし、共通の予備1基分を倉庫予備にしておく
3)ボイラ給水ポンプは(法令上2基が設置されるので)、消耗品以外の予備品は不要
4)ミストコットレルなどの特殊な機器は、メーカーに推奨予備品1年分をリストアップさせて
  揃えておく
5)配管部品や消耗品は、3か月分程度を持っておき、使用したら補充しておく
13.日常パトロール
DCSが完備し、計器室で運転状況が遠隔監視できるからと言って、現場のパトロールを怠ってはいけません。
4時間に1回以上は現場を歩きましょう。 そして「普段と違うところがないか」を、「目」「耳」「鼻」「手」を使って確認しましょう。
具体的には
・白煙はないか (SO2の臭いは無いか)
・酸漏れはないか
・聞きなれない音がしないか
・異常な振動を感じないか
・外観の変化(膨れ、変色、歪みなど)はないか
といった点です。
「予防は、どんな対策にも勝る」ということを肝に銘じておいてください。
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