硫酸技術   by T.Ono
 メンテナンス-5
定期修理時実施作業:
硫酸設備は、排熱ボイラがありますので、法令上毎年必ず規制官庁によるボイラ検査のために運転を停止しなくてはなりません。
どこの工場もこの期間を利用して、「定期修理作業」を実施しています。 「運転を停止しないとできない作業」ですね。
1.炉内点検
硫黄燃焼炉(その他の設備では焙焼炉、分解炉)の内部を点検します。
点検項目としては

1)煉瓦の溶融、脱落、異物付着有無
2)炉内堆積物の有無
3)炉出口ガス温度測定熱電対の異常有無

特に1)は、見逃すと炉体損傷といった深刻な事故を生じますので、注意深く目視確認するべきです。 写真も撮影しておきましょう。
2.ボイラ性能検査
これは、法令上必要な毎年の官庁検査です。(近年は、申請によって2年に一度でも許可されるようです)
厚生労働省が検査する建前ですが、実際には日本ボイラ協会などの登録検査機関が実施します。
検査自体は任せておいてかまいませんが、この機会に、こちら側でも
  • ガス側の汚れ、損傷の有無の確認
を実施しましょう。

硫黄燃焼式の場合、ガス側はクリーンですから問題は少ないものですが、高温ガス(1050〜1100℃)によりガス入口側の水管は損傷しやすいものです。 点検して、問題があればプロテクターのチューブをかぶせるなどの対策を取っておきましょう。

硫黄燃焼式のボイラは、内圧が大気圧より高く、ガス漏れが生じたときは運転中に止めることは困難です。 定修時に、徹底して修理しておきましょう。

又、硫黄燃焼式以外(脱硫硫黄、脱硫H2S、廃硫酸など)ではガス側にダストや付着性の成分があり、チューブは汚染されやすいものです。 汚れが予想されているときは、ガス側の洗浄の準備をしておきましょう。 洗浄液はアルカリ性とします。
3.転化器・触媒層点検&篩分け
運転中に、通風抵抗の増加や転化率の低下が観測された場合は、転化器を開放して触媒を点検します。
何もなくても、5年に1回くらいは点検するべきでしょう。
通常、通風抵抗増加や性能劣化は第1層が最もおこりやすいものです。 これは、ガスが最初に入ってくるため、ガス中の不純物(ダスト、ミスト)の影響を受けること、及び転化率が高いため触媒層の温度も高く、これが劣化の原因となるためです。

点検項目は

1)触媒層上部の状態(錆でおおわれていないか、ダストで目詰まりしていないか、
  偏流の兆候はないか)
2)転化器壁の酸化損傷の状態
3)各層仕切り板の酸化損傷状態

です。 触媒のサンプルを採取し、メーカーに送って活性を測定してもらいましょう。

通風抵抗がある場合は、触媒を全量取り出して篩分けを実施します。
篩は、磁器ボール用と触媒用の2種類の目開きのSUS304製の金網を使用します。
篩分けた磁器ボールと触媒は密閉できるドラムなどに入れておき、再充填に備えます。

触媒の取出しは、バキュームを利用して吸出してもかまいませんが、再充填の時はなるべく触媒が壊れないような方法によります。 多量の場合はベルトコンベアーを使用しますが、局部的に充填密度が偏らないような注意が必要です。 又できるだけ触媒を足で踏まないようにしましょう。
篩分け後の通風抵抗が篩分け前より増加して、再度篩分けを実施した例もありますので、ご注意ください。

当方でも、補充用触媒購入のお手伝いができますのでお引合い下さい。 「個人企業は不可」であれば、知り合いの商社を通じて供給します。

ところで、更新した時に出てきた廃触媒はどうしましょうか?
これは、引き取ってバナジウムを回収する会社がありますので、そちらに頼むのがいいでしょう。 ただし、有償です。
新興化学工業(株)などがあります。
4.ガス熱交の点検
炭素鋼製のガス熱交換器で、運転中に通風抵抗の増加が観測されているときは、定修時に開放して内部点検を行います。

 1)上部チャンネルカバー → 錆でチューブが閉塞していないか
 2)高温部熱交管外側 → チューブから剥離したスケールで閉塞していないか
 3)低温部熱交管内側 → 硫酸ドレンによる腐食で閉塞していないか
 4)低温部熱交管外ガス入口側(硫黄燃焼式以外) → 乾燥塔からの硫酸飛沫で腐食・
   閉塞していないか

2)の場合は、チューブが高温酸化してできたスケールが剥離して蓄積してくるために起こります。 掃除は不可能ですので、熱交換器全体の更新が必要です。 更新の場合は、チューブをSUS304とすると同じ事故の発生を防げます。
3)の場合は、高圧水による洗浄が可能ですが、チューブが腐食している場合は無駄な作業になります。
4)は管外側なので、洗浄しても効果はありません。 乾燥塔のミストキャッチャーを検討して酸飛沫の発生を防止することと、熱交換器は更新するべきでしょう。
更新の場合、最低チューブだけでもSUS304としておきましょう。

私どものあるユーザーでは、それぞれの熱交のシェルに何か所か点検口を設けて、毎年定修時に同じチューブの肉厚を測定していました。 熱交の更新時期を見極めるためとのことでした。 非常に正確なデータが得られますが、正直言って「そこまでしなくてもいいのでは?」というのが私の感想です。
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