硫酸技術   by T.Ono
 設備新設−10
機器仕様決定:

硫黄燃焼式:


計装機器類(フィールド機器類)
細かく説明しますときりがありませんので、実績のあるものにつき特に注意すべき点についてのみ記述します。

1.硫黄流量計
  1)質量流量計
    「コリオリの力」の原理を使って、質量流量を直接測定します。 精度が高いですが
    高価です。
  2)面積式
    いわゆる「フロート式」です。 安価ですが、フロートにさびなどが付着しないように
    前段にマグネットフィルターを設置しておく必要があります。
  
2.硫黄燃焼炉出口ガス温度センサー
  これは熱電対を使用しますが、1050℃の高温に耐えるためケーシングにはUMCO50
  使用するとともに、炉壁からの輻射熱を避けるため炉本体ではなく出口ガスダクトに
  設置します。
  又万一の損傷の懸念から、2個の設置をお勧めします。

3.SO2濃度計(燃焼ガス)
  これは、硫黄燃焼式の硫酸設備では最もトラブルの多いものでした。
  当初は赤外線式その他各種のものが使用されましたが、いずれもガス中のSO3が
  硫酸となって凝縮するため、誤動作の原因となりました。 フィルターを頻繁に交換する
  などの方法しかありませんので、私どもではこの計器は省略し、硫黄の流量と転化器へ
  行くガスの流量からSO2濃度を推算していました。
  確認のためには、ガス検知管を利用すればよいと思います。

4.ボイラ出口温度調節弁
  これは、「ガスダクト」のところでも述べましたが、高温(〜1,150℃)により寿命が短い
  ものです。 耐熱ステンレス鋼製でかつ内部を空冷できるようにしたものを使用して
  いますが、長寿命は期待できません。
  弁体を高温ガス(バイパスガス)が低温ガス(ボイラ出口ガス)に混入する出口を塞ぐ
  ように設ける「プラグ弁」を使用すれば寿命は延ばせるとの情報もありますが、実例は
  知りません。

5.硫酸回り調節弁
  これは、グローブ弁などスピンドルが上下するタイプでは、付着した濃硫酸が空気中の
  H2Oを吸収して希硫酸になり、腐食問題を生じますので、テフロンライニングのボール弁
  又はバタフライ弁を使用するべきです。

6.循環酸クーラー冷却水用PH計
  循環酸クーラーに穴が開いて酸が冷却水側に漏れてきた場合の監視のために、
  冷却水のクーラー出口側にはPH計を設置して常時監視します。

7.濃硫酸用液面計隔膜
  耐食性から、通常はタンタル製ですが、SUS板にテフロン薄膜を被せる場合もあります。
  この場合は、SUSとテフロンの間に空隙があると正しく計測できないため、膜の間に
  不揮発性の高分子油を注入して密着させます。
DCS
計器類の中央制御は、DCS(分散制御システム)で実施します。
硫酸の制御は、一定の数値を維持し続けることが基本ですので簡単です。 勿論、他のDCSと同様、システム構築のためのデータはプロセス設計者からDCSメーカーに提供する必要があります。

メーカーとしては横河電機(株)又は(株)山武が大手でもありお勧めです。
インターロック
燃焼炉が有りますので、関連機器の停止時には重大事故防止目的で燃焼を自動停止させるインターロックを組んでおく必要があります。 具体的には、下記要因の時に硫黄供給(冶金式では原料供給)を停止します。 ブロワーは、要因ごとに判断して、必要であれば手動で停止します。
1)ブロワー停止
2)排熱ボイラ液面異常低下
3)湿式スクラバー循環ポンプ停止
4)乾燥塔・吸収塔循環ポンプ停止
一方、硫黄や原料の供給が停止しても、これらの機器を停止する必要はありません。
停電対策
急な停電対策として緊急電源を持つ必要があります。

1.無停電電源装置
  →硫酸設備では、計装機器の制御用に交流入力直流出力のものが使用されています。
2.発電機
  →軽油などを燃料にした発電機です。
  最低でもボイラ給水ポンプ、各塔循環ポンプを動かせる容量にしましょう。
予熱方法
硫黄燃焼炉(SF)は1050〜1100℃、転化器(CV)は400〜620℃で運転されますので、硫酸設備の運転スタート前にそれぞれ予熱しておく必要があります。

硫黄燃焼炉は、重油やLPGを燃料とする予熱用バーナーを予熱時に着用し、硫黄の安定した燃焼を図るため700℃以上に予熱します。

転化器は触媒層での酸化反応の継続する400℃以上を目標にしますが、硫黄燃焼式の場合は生産運転時に転化器系にやってくるガスの温度がこれより高いため、スタート時の触媒温度がこれより低くても速やかに上昇させることが可能です。 

日本に硫黄燃焼式硫酸設備ができた当初は、硫黄燃焼炉をスタート時の予熱炉として使用する方法でした。(ブロースル−と言います)

SFとCV系を切り離してSFのみ予熱 → 乾燥空気をSF経由CV系に通してCV系を予熱(間接予熱) → 上記を繰り返す →触媒温度が硫酸の凝縮しない200℃に到達 → SF燃焼ガスをCV系に通して直接予熱 → 触媒温度が400℃以上に到達
(間接予熱により触媒層をすべて200℃以上とするには長時間かかるので、これより低い温度でスタートしている設備もあるようです)

この方法ですと、SFとCV系の切離しと接続を繰り返すため、転化器系入口ダクトに設けた大きな封止板の挿入/取り外し操作を何回も繰り返さざるを得ず、時間が掛りかつ安全上問題があります。
むしろ転化器系に独立した予熱装置を設けて、炉とは別途予熱する方法の検討をお勧めします。
→「製造プロセス」の添付PFDを参照ください。

ただ、転化器系の独立の予熱用の専用の炉と熱交換器は、通常1年に1回、数日しか使用しません。 これを無駄と考えるときには、従来のブロースルーを採用してください。

予熱炉としては、熱風発生用の煉瓦張りの炉と、ガス熱交換器の組み合わせでも構いませんが、高温の燃焼ガスにさらされる管板部分が損傷しやすいので設計時は注意が必要です。
管板を使用しない石油の加熱炉タイプの予熱炉はこういう心配がありませんのでお勧めです。

小さな設備では、CV系の独立の予熱炉として電熱も利用されます。 これは始動・制御が容易で運転しやすいものです。
設備新設−11
ホーム
概論
製造プロセス
設備新設

 設計条件
 プロセス決定
 物質・熱収支
 機器仕様決定
  
  硫黄原料:   その他のSO2原料:  付帯設備: 増強・改造
機器更新
メンテナンス
運転
各種硫酸製造法
耐食材料
物性データ
計算
安全

プラント建設体験
関連技術
資料

ご質問・引合い
良くある質問(FAQ)
リンク

ちょっと一言
関連サイト: パーツトレード
 プロフィール  サイトマップ  プライバシーポリシー  更新履歴 
 リンクフリーです。 内容の転載につきましてはご一報ください。  All rights reserved to Tsunetomi Ono.