硫酸技術   by T.Ono
 設備新設−12
機器仕様決定:

その他のSO2原料
これ以降は、硫黄以外のSO2原料を利用する方式に必要な機器について述べます。

  1) 精錬ガス、硫化鉄鉱、脱硫回収硫黄、同H2S、廃硫酸
    →燃焼炉(分解炉)、ボイラ、ガス精製装置が必要
  2) 脱硫回収SO2(活性コークス法)
    →ガス精製装置が必要
焙焼炉、分解炉
精錬ガス:
 銅、亜鉛、ニッケルなどの硫化鉱石を燃焼させてSO2ガスと酸化物を得ます。
 これは、自熔炉、転炉など、それぞれ専用に開発された炉であり、詳しくは精錬メーカーの
 サイトを参照ください。
 銅・・・自熔炉+転炉
 亜鉛、ニッケル・・・流動焙焼炉(下述)

硫化鉄鉱:
 鉱石を粉砕して微粉にしたものを流動焙焼炉で焙焼します。
 流動焙焼炉は、炭素鋼製の竪型炉に耐火煉瓦を内張りしており、炉の底から燃焼用空気を吹き込むことにより鉱石を流動化し、燃焼させます。 燃焼効率が良く、残留硫黄が少ない為硫化鉄鉱の焙焼は現在すべてがこの方法に依っているようです。 炉内の温度を制御するため、流動層内に水管を通してボイラとして熱を回収したり、鉱石を水中に懸濁してスラリー状で供給することにより蒸発熱で温度を下げたりしています。
 日本では硫化鉄鉱を原料として使用しなくなって久しい為、エンジニアリング会社もノウハウがありません。 海外ではOutotec(旧ルルギ)、Petersenといった会社が技術を販売しています。 中国やインドの会社も多くの実績があるようですが、ほとんどが国内主体であり、信頼性に疑問が残ります。

Outotecによりますと、彼らは用途により
@2段の炉で鉱石を循環させながら焙焼する循環型(Circulating Fluidized Bed Roaster, CFB)
A従来の1段型(Bubbling Fluidized Bed Roaster, BFB)
の2種類を使い分けているとか。 通常はAですが、鉱石中にヒ素の多い時などは@を使用する、いずれにせよ鉱石のサンプルを送ってもらい、パイロット試験機で焙焼試験を実施して実機を設計するとのことです。

    流動焙焼炉           同左(リサイクルのある例)

脱硫回収硫黄、廃硫酸:
 脱硫回収硫黄は、多量の水分を含むスラリー状になっています。 よって、自分の発熱量だけで燃焼を維持することは困難なので、別途重油バーナーを取り付けて熱量を補助します。
 分解炉への供給の前に、液を予備濃縮します。
 廃硫酸も同様に、重油を補助燃焼し、H2SO4を熱分解してSO2に還元します。
 廃液中にNaを含むと、煉瓦が溶融損傷されることがありますので、その場合は特殊な煉瓦を使用する必要があります。
 竪型の炉の頂上部にバーナーを設け、炉の下段に水槽を設けて燃焼ガスを直接冷却水中をくぐらせる、液中燃焼式の炉もあります。

脱硫回収H2Sガス:
 コークス炉ガス(COG)の脱硫に伴い副生する、いわゆるサワーガスです。 ガスバーナーにて燃焼させます。
 ガスの組成によっては発熱量が小さく、燃焼の継続が困難なことがままありますので、COGを助燃したりします。

いずれの場合も、液やガスの組成を炉メーカーに伝えて設計させます。
排熱ボイラ
液中燃焼式でない場合、焙焼炉出口燃焼ガスの温度は800〜1000℃ありますので、冷却と熱回収を兼ねて排熱ボイラを通します。

精錬ガスやパイライト原料の場合は、ガス中に金属酸化物粉塵が大量に含まれていますので、これによる付着、閉塞や摩耗の対策が必要です。 水管ボイラとし、水管の間は板で繋いだメンブレン構造とし、ガス流れは水管と並行流にするなどの工夫が必要です。
特にガス入口部は閉塞や摩耗の問題が起きやすい為、この部分のメンブレン壁を振動させて、ダストを付着させない工夫を施したボイラも作られています。
水管の形状が複雑になりますので、ボイラ水をポンプ循環する、強制循環方式が採用されます。
材質はボイラ用炭素鋼です。

その他の原料からのガスの場合も、粉塵や燃焼生成物により水管や煙管が閉塞する恐れがありますので、できる限り閉塞しにくく、もし閉塞した場合は簡単に洗浄できる構造にしておくことが必要です。(例:水管の配列は四角配列とし、洗浄用の開口部や液抜きを設ける、など)
材質としては、接ガス部は停止時温度が下がった時の発生する硫酸に対する耐食性を考慮してSUS316L(クラッド鋼も可)としておきましょう。

廃液やサワーガス中にNH3分を含む場合、完全燃焼せずに残ったNH3がSO3と結合し、NH4HSO4となって水管・煙管表面に凝縮・析出し、抵抗増加や腐食問題を起こすことがあります。 これを防ぐためには、ボイラ出口のガス温度を300℃以上となるように運転する必要があります。
乾式集塵装置(精錬ガス、パイライト原料)
精錬ガスの場合、ボイラの後には並列のサイクロンを設けて、サイズの比較的大きなダストを除去し、その後ダストコットレル(ホットコットレル、乾式電気集塵機)にて湿式集塵の前に集塵を行います。
これは、筒状の放電極と板状又は円筒状の集塵極の間に高圧の直流電圧をかけ、放電極からコロナ放電を起こさせて周りの粒子を荷電し、集塵極に集めるという原理です。
現在も機器そのものは昔のままですが、ダストの除去などの工夫があるようです。

設備新設−13
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