硫酸技術   by T.Ono
 設備新設−7
機器仕様決定:

硫黄燃焼式:


吸収塔
転化器においてSO2の酸化により生成されたSO3を〜98.3%H2SO4に吸収し、 これを水で希釈することにより製品濃硫酸を製造します。

SO3(g) + H2O(l) → H2SO4(l) + 132.46kJ/mol

吸収反応により、循環酸温は上昇しますので、後述の酸クーラーにより冷却します。
  • 塔本体
  • 分酸管
  • ミストキャッチャー
  • 塔架台
  • 塔本体
プロセスガス条件は異なりますが、乾燥塔とほぼ同じスペックで設計します。
塔径を同じとすると、空塔速度は乾燥塔よりやや大きくなります。 充填高は同じか、やや高めとします。 DC/DA法の場合は、中間吸収塔より最終吸収塔の充填高を下げる場合もあります。
L/Gは、塔出口の酸温が上がりすぎると酸クーラーの腐食が急激に進むため、乾燥塔より大きめにします。 クーラー入口酸温度の上限は、ハステロイ-Cでは90℃です。
その他の情報は基本的に乾燥塔と同じなので、そちらを参照してください。 →乾燥塔
  • 分酸管
これも乾燥塔と同じとします。
  • ミストキャッチャー
これも乾燥塔と基本は同じですが、乾燥塔より高温・高濃度の硫酸ミストですので、下記に注意してください。

1)ワイヤメッシュデミスター
吸収塔用には、Carpenter20製やSUS316製が使用されます。
細かいミストの除去ができないため、ダブルコンタクトにおける中間吸収塔にはお勧めできません。
メーカーは: 後藤商事(株) Begg Couslandその他があります。
2)ブリンクミストエリミネーター
乾燥塔と同じです。
「ブリンク」は日本ガイシ(株)が取り扱っていまが、Begg Couslandその他から同様性能のものが販売されています。。
3)キムレミストエリミネーター
乾燥塔と同じですが、より高温であることを配慮して、材質はPFAとするべきです。
耐熱度: PFA =204℃、 ETFE = 149℃

カンセツ産業(株)が取り扱っています。
  • 塔架台
これも乾燥塔と同様に、コンクリートスラブではなく鋼鉄製架構の上に設置する例もあります。
ポンプタンク
乾燥塔、吸収塔と同じく従来は炭素鋼+耐酸煉瓦ライニングでしたが、最近はこれも乾燥塔、吸収塔と同じく炭素鋼+テフロンシート+耐酸煉瓦ライニングやSandvick-SX、ZeCor製に変わりつつあります。
SUS316+耐酸煉瓦ライニングも従来のものよりも長い寿命は保証できると思います。
ポンプタンクは、本来乾燥塔、吸収塔など塔ごとに独立したいたものですが、プラントコストを抑えるために共通にした例もあります。 この場合、循環酸濃度は乾燥塔でも98.3%程度にします。
タンク自体のほかに、液面調節計や濃度調節計が一つで済みますのでコストを下げられます。
大型プラントが次々につくられる割には、この「共通ポンプタンク」があまりないことを考えますと、ガスの乾燥が上手くいかないなどを弊害があるものと思われます。
酸クーラー
循環酸用のクーラーとしては
  • プレートクーラー
  • スパイラルクーラー
  • テフロンクーラー(タンクコイル式)
  • テフロンクーラー(シェル/チューブ式)
  • シェル/チューブ式クーラー
  • イリゲーションクーラー
などがありますが、寿命と価格のバランスからはプレートクーラーがお勧めです。
ただし、精製硫酸や高純度硫酸など、製品の汚染を極端に嫌う場合は、シェル/チューブ式テフロンクーラーを使用する必要があります。

1.プレートクーラー
0.7mmのHastelloy-C(276,22)製薄板の両面に、硫酸と冷却水が流れます。 総括伝熱係数が1500〜2500kcal/m2/hr/℃と大きく、大変小さく場所を取りません。
プレートを開放すれば点検・清掃が容易です。
同じ能力で比較しますと、最も安価になりますのでよく使用されています。
ただし、高温の硫酸入口部分のプレートは徐々に腐食されますので、吸収塔用では5年ほど経つと点検を要します。
運転時、入口硫酸温度は90℃を越えますとHastelloy-Cといえども腐食が激しくなるので、酸温はこれ以下に保つ必要があります。
私もこれが一番お勧めですが、開放点検の際にはフッ素ゴム製ガスケットを更新せねばならず、これが高価なことで嫌う方もいらっしゃいます。

2枚のプレートを溶接し、内側に硫酸を、外側に冷却水を通す「溶接タイプ」のものもあります。 これはやや高価になりますが、ガスケットが節約でき、お勧めです。

メーカーとしては、国内では下記です。
(株)日阪製作所
アルファラバル(株)

海外にもメーカーは有りますが、硫酸設備での実績は日本国内には無いようです。
2.スパイラルクーラー
薄いプレートでできた長い伝熱板を、渦状に巻いたものです。 伝熱係数は500〜1000kcal/m2/hr/℃です。 プレートクーラーほど伝熱係数は高くなく、安価にはならないためお勧めできません。
ただ、発煙硫酸用の循環クーラーには、本体のガスケットが不要になりますので、使用しているプラントもあります。
3.テフロンクーラー(タンクコイル式
炭素鋼製ケーシングと耐酸煉瓦でクーラーを収める狭い流路のタンクを作り、この中にテフロンのチューブを束ねたクーラー数基を浸したものです。 硫酸に接するのはテフロンですので、溶出金属による硫酸の汚染がなく製品品質は非常によくなりますが、装置全体が結構大きくなること、長年の使用の後タンク部分が腐食により修理が必要になること(ポンプタンクと同様に、硫酸鉄により膨れたり、酸漏れを生じたりする例が多々あります)、それと最も高価になるます(プレートクーラーの〜3倍)。 総括伝熱係数は150〜250kcal/m2/hr/℃です。
上記のようなデメリットからか、近年は採用する工場も稀なようです。
4.テフロンクーラー(シェル/チューブ式)
内径数ミリの細いテフロン製チューブを束ねて、炭素鋼製ケーシングに収めたものです。 プレートクーラーと同様に場所を取らず、より製品純度が高くなる利点はありますが、コストはプレートのほぼ2倍になります。
工業用硫酸のクーラーとしてはコスト面からお勧めできませんが、製品品質の面から精製硫酸高純度硫酸用のクーラーとしては必須です。

冷却水中の砂とか錆、又は流速により動くチューブ自身により他のチューブが摩耗し、穴が開いたりしますので、注意が必要です。

総括伝熱係数は〜350kcal/m2/hr/℃程度です。

メーカーとしては、国内では下記でしょう。
(株)プランテックス
カンセツ産業(株)
淀川ヒューテック(株)
5.シェル/チューブ式クーラー
SUS304製のシェル/チューブ熱交換器で陽極防食を施したものは、外部電源により金属側の電位を不動帯域まで上げてやることにより腐食を防止するものです。
酸の入口温度は、最近は105℃としている例もあります。 これにより、伝熱面積の削減が図れます。
これも場所を取らず良い方法ですが、価格はプレートより高価になります。
又、防食もオールマイティーではなく、冷却水中の沈殿物が局部電池を形成して腐食した例がありますので注意が必要です。
総括伝熱係数は1000kcal/m2/hr/℃が可能です。

同じシェル/チューブでも、MECS社のZeCorやSandvik社のSXを材料にしたものは、材料そのものに耐食性がありますので陽極防食の必要がありません。 ただしこれも、材料自体が高価なためプレートクーラーなどに比較して高価なものになります。
総括伝熱係数は500〜1000kcal/m2/hr/℃とメーカーは言っております。
いずれにしましても、冷却水より硫酸側の圧力を高くしておき、もし伝熱部に穴が開いても、冷却水が硫酸側には入らないように、かつ冷却水にはPHセンサーをつけて漏酸の常時監視ができるようにしておきましょう。
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