硫酸技術   by T.Ono
 設備新設−8
機器仕様決定:

硫黄燃焼式:


酸ポンプ
塔循環酸ポンプ:

乾燥塔、吸収塔の循環硫酸用ポンプです。
これに最も必要なことは、耐食性(長く持つこと)と漏酸しないことであり、この目的を満足させるため、従来は高級ニッケル合金製の竪型ポンプをポンプタンクに浸漬するものが主流でした。
現在は、テフロンライニング製ノンシールマグネットポンプが性能、耐食性、価格の点で最良と思います。
竪型ポンプは原理的に漏酸の恐れは皆無ですがシャフトが長いという構造上、トラブルを生じやすく、かつ腐食量はゼロではないのでスリーブなど特定部位は消耗品並みに交換する必要があります。
ノンシールポンプも完全にシールされているため漏酸は皆無であり、かつ接液部はテフロン製で耐食性も完全なので、ほぼノーメンテナンスで長期の運転が可能です。 価格も竪型ポンプの1/3以下です。(2010年時点)
ただ塔から出てくる耐酸磁器充填物の欠片がライニングを損傷する危険がありますので、保護のためハステロイーC製のストレーナーを取り付けたりします。
私自身はストレーナーの要否について疑問なのですが、まだ取り外した例についての結果は確認しておりません。

ノンシールマグネットポンプは、空運転は禁物ですので、必ず空転防止装置が付いています。
又、締切運転も損傷の原因になりますので、ミニマムフローラインを作って主出口弁を閉じても硫酸の循環が確保されているようにしておきます。

メーカーとしては
(株)イワキ
セイコー化工機(株)

マグネットポンプ

これらの点が気になる場合、又は大容量ポンプであって、マグネットでは多数のポンプが必要になることを嫌う場合は前述の高級ニッケル合金製の竪型ポンプを使用せざるを得ません。
このタイプのメーカーは、国内では下記が最も実績があります。
(株)松田ポンプ製作所


製品硫酸の送酸ポンプ:

これは、循環ポンプ同様テフロンライニング製ノンシールマグネットポンプでよろしいですが、循環酸より酸温度は低く、腐食性が小さくなっていますので、より安価なSUS316製のキャンドポンプでも十分です。
メーカーとしては、下記があります。
(株)帝国電機製作所
日機装(株)

キャンドポンプ
製品酸タンク
工業用硫酸の場合、製品酸貯蔵用のタンクは炭素鋼製で十分です。
ただし、大気開放タンクですと、空気中の水分により硫酸表面に希硫酸が生じ、これによるタンク壁面の腐食が起こります。
この予防のために、吸引する大気の吸湿装置を取り付けたり、乾燥空気・乾燥N2などによるパージを実施します。
酸配管・弁・ガスケット
酸配管:
循環酸配管など塔回りの配管は、温度が高く(〜90℃)、かって使用された鋳鉄管など金属では腐食しやすい為、テフロンライニング鋼管とするべきです。 流速による腐食の心配がありませんので、ポンプ出口で〜2.0m/secとすることが可能です。
オーステナイトステンレス管も温度が低ければ十分使用できますが、循環酸の温度では、エルボ、チーズなどの流れの乱れる個所で腐食を起こすことがあり、お勧めできません。 特に、硫黄原料の硫酸では金属イオンやNOxのような、ステンレス表面に耐食性不動態被膜を生成する成分が含まれませんので、腐食の危険が大になっています。
送酸配管など、常温に近い配管であればSUS316、316Lなどが使用可能です。
金属管の適性配管流速についての質問を受けたことがありますが、硫酸による金属材料の腐食は温度・濃度・不純物含量などの要因が複雑に絡み合っていますので一概に述べることはできません。

弁:
SCS14製ボール弁が一般的に使用可能ですが、高温(>60℃)ではPFAライニングボール弁又は同バタフライ弁を使用するべきです。

ガスケット:
濃硫酸用のガスケットはPTFE主体で、クッション材を包み込んだもの(バルカ#7020など)や無機フィラーを充填したものを温度により使い分けます。
アイウォッシャー・ボディウォッシャー:
濃硫酸は人体に接触しますと、深刻な傷害を引き起こします。
万が一硫酸がかかった時には、一刻も早く水洗いして硫酸を洗い流さないといけません。
昔はイリゲーションクーラーなど、硫酸設備には流水がふんだんに有りましたが、現在の設備では冷却水といえども密閉系を流れています。 いざという時の為に

1.目の洗える、アイウォッシャー
2.体全体の洗える、ボディウォッシャー


を必ず備えておきましょう。
いずれも、定期的に水を流してみて、常に水が出ることを確認しておくことが肝心です。
地下槽
乾燥塔・吸収塔回りでは、メンテナンス時に系内の硫酸を一旦抜く操作が必要です。 この、抜き出す硫酸の一時貯蔵用として地下槽を設けます。
これは、ポンプタンクと同様に炭素鋼に耐酸煉瓦を貼ります。 槽は、直に土に埋めるのではなくコンクリート製のマスの中に置きます。

地下槽ポンプ:
地下槽内の硫酸は、地下槽ポンプにより製品タンクその他へ移動させます。 これは、タンクより高い位置に置くことが多いため、自吸式とし、酸漏れのないように竪型とします。
材質は、高級ステンレス製が多いです。
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