硫酸技術   by T.Ono
 設備新設−9
機器仕様決定:

硫黄燃焼式:


排ガス除害(SOx除去)装置
硫酸設備の排気中のSOxは、たとえダブルコンタクトであってもそのままでは大気汚染防止法に規定する、各地域ごとの排出基準を満足しない場合がほとんどです。
それ故、通常は大気放出の前にSOx除去装置を設置する必要があります。
  ・中和式除害塔:
SOx除去装置には多種ありますが、硫酸設備で多く用いられているのはアルカリによる吸収除去装置、除害塔です。

吸収中和剤により、以下の各方法があります。

1)苛性ソーダ → 亜硫酸ソーダ、重亜硫酸ソーダ
  副生排液は自家消費又は売却が必要ですが、ガス中のO2濃度が高いため、
  装置内で酸化されて硫酸塩(芒硝)が多くなり、品質が低下しがちです。
  大規模な排水処理設備を有する工場であれば、むしろ積極的に酸化を促進して
  硫酸塩とした後、排水処理設備にて処理することが有利です。
  中和剤としては最も高価になりますが、吸収液のPH制御がしやすく、排気中の
  SO2を低くしたいときはこの吸収剤が一番です。

2)安水 → 硫安
  生成した亜硫酸アンモンを酸化するか硫酸により分解して硫安にします。
  硫安を消費する肥料工場が付属している場合には有効ですが、排気の白煙
  もっとも激しくなりますので、後ろにミストコットレルをつける必要があります。

3)水酸化マグネシウム → 硫酸マグネシウム
  生成した亜硫酸マグネシウムは、塔内及び付属の酸化器で酸化して硫酸マグネシウム
  とします。 排液はそのまま海などへの放出が可能なはずですが、自治体によっては
  規制している(水温、SSなどとも)ところもありますので、事前調査が必要です。

4)消石灰 → 石膏
  生成亜硫酸塩は酸化して石膏とします。 吸収剤としては最も安価ですが、装置内に
  スケーリングを生じやすく、小規模の設備ではコスト高になります。
  吸収は苛性ソーダで行い、生成した吸収液を消石灰と反応させて苛性ソーダを回収し、
  除害塔へ循環する方法もあります。
  希硫酸で吸収し、増加する吸収液を消石灰と反応させて石膏を回収する方法もあります。

1)、2)、3)の吸収塔には、充填塔、サイクロンスクラバー、TCA、多孔板塔などがありますが、私たちは空塔速度が大きく(4〜5m/sec)、コストも低いサイクロンスクラバー方式を採用していました。

除害ポンプ:
除害塔循環ポンプは、1)や2)ではテフロンライニングマグネットポンプが使用可能ですが、3)や4)では循環液中に固形物を含みますので、耐摩耗性ステンレス製メカニカルシールのポンプが使用されます。

ミストコットレル:
除害塔の排気には白煙が生じますので、これを取るために後段にミストコットレルを設置します。 排気を加熱し水滴を蒸発させることも効果がありますが、近年の環境意識の高まりに対しては加熱だけでは不十分で、ミストコットレルは不可欠となっています。
  ・その他の方法:
Peracidox法:
 ドイツ Outotec社の開発したプロセスで、排ガス吸収にH2O2を使用し、SO2を液相で酸化して50%硫酸として回収し、硫酸設備へ戻します。
 副産物が全く出ませんのでよい方法ですが、H2O2は安くありませんので、このコストをどう見るかで採用の可否が決まるでしょう。

アミン吸収法:

 エタノールアミン類は、SO2を吸収し、加熱により放出する性質がありますので、この方法で回収して転化器前に戻します。 大規模プラントで排気中のSO2量の多い時には有利と思われます。 中国で多く採用されているようです。

WSA法:
 デンマーク トプソー社の開発した方法です。 本来は発電ボイラ排ガスのように、大ガス量かつ希薄なSO2濃度のガスから、濃硫酸を製造するのが目的ですが、近年の大規模な硫酸設備ならメリットがあるかもしれません。
 排気中SO2を触媒で酸化して、部分凝縮させて90%以上(Max.95%?)の濃硫酸を製造します。
ガスダクト・弁・ガスケット
ガスダクトは、基本的に炭素鋼でOKですが、下記は例外です

1)硫黄燃焼炉出口
  高温なので、炭素鋼+耐火煉瓦ライニング
2)転化器回り(特に、第1層出口)
  SUS304
3)除害塔出口
  SUS304 or FRP

弁類は、プロセスガスの種類・温度により使い分けます。
材質を簡単に述べますと
1)ボイラバイパスのように超高温(〜1050℃)の部分は、耐熱ステンレス(SUS310)+内部空気冷却
2)転化器回りはSUS316
3)硫酸ミストの有るところはテフロンライニング

ガスケットも、ガスの組成や温度により細かい使い分けが必要ですが、詳細は(当面)略させていただきます。
硫酸設備の床は、基本的にはコンクリート舗装で構いません。
ただし、乾燥塔・吸収塔や、酸クーラー、酸ポンプ、製品タンク、ガス精製設備などメンテナンス時に硫酸が漏れる可能性のある箇所の床では、コンクリートは徐々に腐食されてしまいます。
対策としては、耐食性の材料で表面を被覆することです。 この目的には、
1)耐酸煉瓦を貼る
2)FRPで覆う
3)その他樹脂製被覆材で覆う(ポリクリートなど)

しかし、これらの対策をとっても、希硫酸はどこからか浸透してゆきますので、定期的な補修が必要なものだと覚悟しておきましょう。

設備新設−10
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