硫酸技術   by T.Ono
 運転-1
 
With Malaysian operaters
硫酸設備の運転:
硫酸設備は、ボイラの定期検査で1年に1回計画停止する以外は、1年を通じて連続運転することが普通です。 ただ、燃焼炉や転化器触媒は運転開始可能な温度にまで昇温する必要があります。 逆に、長期停止の前には触媒に吸着されたSO3を追い出す操作が必要です。
1.運転開始操作
2.定常運転
3.運転停止操作
4.緊急停止
5.停電

以下に、それぞれの手順を簡単に述べます。
1.運転開始操作
長期停止後の運転開始:

定常運転時、硫黄燃焼炉や焙焼炉は1000℃を超える高温です。
また転化器内触媒は、正常に反応するには400℃以上であることが必要です。
長期の停止の後は、いずれも常温にまで冷却されているはずですので、これらを運転開始可能な温度にまで昇温する必要があります。
硫黄燃焼炉は硫黄の着火する温度以上(〜700℃)、触媒は400℃以上まで昇温します。

炉はガスや重油などの燃料を燃焼するバーナーを本体に取り付けることにより、直接加熱で昇温しますが、急速な昇温は内張り耐火煉瓦を損傷する危険がありますので注意が必要です。
触媒は、残存している可能性のあるSO3が燃焼ガス中のH2Oと結合して硫酸を作ることのない硫酸の露点以上(〜200℃)までは乾燥空気により昇温する必要があります。
硫黄燃焼炉を予熱炉代わりに使用して、まず燃料燃焼により炉壁温度を十分に昇温した後、乾燥塔を通した乾燥空気を炉に通して加熱し、そのまま転化器系統に送ります。 (これをブロースルーと呼びます) 1回のブロースルーでは触媒の全段の昇温は不可能なので、数回繰り返し、全段が200℃以上になるようにします。 
炉の予熱の時は、燃焼ガスを転化器の前から大気放出し、ブロースルーするときは転化器系へ加熱空気を送りますので、転化器前のガスダクトに封止板と大気放出口を設け、開閉を切り替えます。
ブロースルー時単純に第1層からガスを通すだけですと、最終段が昇温するまでに時間が掛りますので、予熱時のみ使用する転化器入口から最終段へのガスダクトを設けることが有効です。
触媒層温度が200℃を超えれば、炉の燃焼ガスを直接転化器系へ導入することにより全触媒層を400℃以上に昇温します。

以上は硫黄燃焼式の場合ですが、他の原料の場合は炉を利用できませんので、転化器触媒の予熱には独立の予熱炉が必要です。
予熱炉としては、規模の大きい場合はガスや重油を燃焼する炉と熱交換器を組み合わせたもの、小規模設備では電熱を利用します。

連続作業で炉の予熱には1.5日、転化器の予熱には3日を見ておきます。 転化器系に独立の予熱炉を設けている場合は、より短時間での予熱が可能です。

ブロースルーの場合、乾燥塔を通した乾燥空気を使用しますので、乾燥塔の循環硫酸濃度が低下してきます。 それ故、運転停止時には乾燥塔の硫酸濃度をできるだけ上げておき、予熱運転中に濃度が低下してくれば酸を高濃度のものに入れ替えます。

炉、転化器触媒の温度が運転開始可能な温度になれば、ブロワーを起動し硫黄や原料ガスを投入して運転を開始しますが、最初はできるだけ少量の負荷でスタートし、触媒温度や各塔の循環酸濃度を監視しながら負荷を上げていきます。

ボイラは炉の予熱の過程で昇圧、蒸気が発生しますので、薬液注入やブローなど、運転開始時には正常の運転ができているようにします。

インターロック関係は、予熱開始時には解除しているものが多いはずですが、どの時点でONするかをあらかじめマニュアルで定めておきましょう。

短期停止後の運転開始:

触媒や炉の温度が、予熱を要するほどに低下していない短時間の停止の時は、そのまま運転開始します。 プラントによりますが8〜12時間の停止は問題なく再スタートが可能のようです。
2.定常運転
硫酸設備の運転は、「定常値に運転データをコントロールする」だけの簡単なものです。
生産量が決定していれば後はその生産量に見合う指標にプロセス各位置の運転数値が成るようにコントロールすればよいのです。 しかも、コントロールは計器による自動運転ですから益々簡単です。
オペレーターの責務としては、DCSなどでもコントロールできない異常が発生しないか、警報に注意することと、出来るだけ現場を歩いて機械的な問題が生じていないかを確認することが大事です。
警報が出た場合、あわてずに原因の確認を第一にしましょう。

運転中の現場のパトロールは、少なくとも1直(8時間)の内2回程度実施しましょう。
目で見ることは、時にはDCSよりも確実で大量の情報を得ることができます。
→「パトロール」参照
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