硫酸技術   by T.Ono
 硫酸概論-4
 
物理的性質
一般的な98%濃硫酸(実濃度 = 98.3%H2SO4前後)については、常温25℃付近で

 比重 ・・・ 1.83
 粘度 ・・・ 21cP
 比熱 ・・・ 0.337
 熱伝導度 ・・・ 0.284kcal/m/hr/℃
 電気伝導率 ・・・ 0.07℧・cm
 水蒸気圧 ・・・ ほぼ0 (だからデシケーターに使われる)

これらの数字は、濃度と温度で大きく変化します。

その他:

 凝固点 ・・・ +3℃ (だから、冬に凍結する)
 沸点 ・・・ 317℃ (98.54%で共沸混合物となる)
 不揮発性
 水にはあらゆる濃度で溶け合う。
 希釈熱 ・・・ 高濃度域で大きい

特記事項として覚えておいてほしいのは

1.濃硫酸の範囲の濃度は、比重では測定できない。
濃硫酸の比重を濃度に対してプロットしますと、97%前後に極大点があり、その前後ではカーブがほとんど平らになってしまいます。 このため、濃硫酸の濃度は、比重を測っただけでは決定できません。 電気伝導度を測定して濃度を決定しています。
2.98%硫酸は冬季には凍結する。
ですから、日本では冬季には製品硫酸の濃度を95%に下げて出荷しています。
3.濃硫酸を加熱しても、98.5%以上にはならない。
この付近に共沸点があるため、単なる加熱ではこの濃度以上にすることはできません。 これ以上にするには、濃硫酸にSO3を吸収させる必要があります。
4.水で洗わない限り、取れない。
薄い濃度のものが衣服などにかかった場合、そのままにしておきますと、水分のみが蒸発して徐々に濃度が上がり、やがて穴が開いたりします。 硫酸の付着が疑われるときは、必ずよく水で洗いましょう。
5.希釈熱は非常に大きい。
硫酸の希釈熱は非常に大きく、98%H2SO4を水で希釈していくと硫酸の温度は急激に上昇し、60%前後で沸点を越えます。 これは完全に混合した場合であり、「硫酸の希釈は、必ず水の中に徐々に硫酸を入れて混合すること」と言われているのは、逆にすると局部的に沸騰が起こり、硫酸が飛散する恐れがあるからです。
この、硫酸の希釈の失敗は人命事故にいたる場合がありますので厳重な注意が必要です。
化学的性質
強い酸化性を有し、多種の無機・有機化合物と反応します。
例えば:
 
 塩化物 + 硫酸 → 塩酸 + 硫酸塩
 フッ化物 + 硫酸 → フッ酸 + 硫酸塩
 ベンゼン + 硫酸 → ベンゼンスルフォン酸 (スルフォン化)
 トルエン + 硫酸 + 硝酸 → TNT(ニトロ化)

又、反応触媒としても利用されます。

又、金属と反応して、これを腐食し、水素を発生します。
この、金属に対する作用は、濃度、温度、不純物の有無により大きく異なり、かつ実際の設備管理に重要ですので、別途論じることとしたします。

一般的に言えることは
1)温度が上がると腐食性は大きくなる
2)濃度の影響は、金属により異なる
3)不純物の影響は、CASE BY CASE
4)合金は、微量の成分の差で大きく影響される
硫酸概論-5
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