硫酸技術   by T.Ono
 製造プロセス−4
特殊なプロセス:

湿式法:
硫黄燃焼式であれその他の原料であれ、一般的なプロセスでは転化器に供給される接触反応ガス中にはH2Oが含まれていません。 設備の腐食や停止時の触媒の損傷の危険を避けるためです。
この目的のために乾燥塔が使用され、硫黄燃焼用空気やガス精製装置後のプロセスガスを93〜95%H2SO4で洗浄することにより含有されるH2Oを吸収除去しています。
ところが、ガス中にH2Oを含んだまま接触反応させるプロセスもあります。
これは、通常はガスはきれいだがSO2濃度が薄く生産量も小さい設備で、かつ製品は希硫酸でも構わないという特殊な条件にのみ採用されます。
設備としては乾燥塔が要らず、転化器の後には、吸収塔の代わりに凝縮器と電気集塵機のみですので設備費は低く抑えることができます。
しかし濃硫酸ができないというのは製品の用途が自ずから制限されことですので、現在では採用されている例はほとんどないと思われます。
WSA法:
上記の湿式法の一種ですが、ガス中のH2Oを全量凝縮させることなく、部分凝縮させることにより高濃度の硫酸を得る方法を、1980年代半ばにハルダートプソー社(デンマーク)が開発しました。
H2Oを含んだガスは直接転化器にてSO2が酸化され、生成したSO3はH2Oと反応してガス状のH2SO4となります。 このH2SO4蒸気をガラス製の凝縮器にて部分凝縮させて濃硫酸を得ます。 転化器で発生する酸化熱は、溶融塩ボイラにて回収されます。
精製する濃硫酸濃度は、ガス中のH2O量により決まります。 10%以下なら、98%H2SO4を得ることが可能だとか。
又、転化器にて生成したSO3がすぐH2SO4に変わることにより、ガス中のSO3濃度は常に低いままなので、DC/DA法と同じく平衡がSO3の酸化を促進する側にずれることになり、最終転化率は99%以上になるとか。
元来、単純接触式硫酸設備の排気、ボイラ燃焼ガスのように、極めて薄いSO2濃度のガスから硫酸を製造するプロセスでしたが、現在では、冶金式焙焼炉ガスからの高濃度SO2や、石油精製からのH2S、コークス炉ガス精製H2S、硫黄スラッジ、石油化学からの廃硫酸や硫酸排液など、多種多様な原料に対応が可能で、世界中に100基近い建設実績が有ります。
国内では、石油化学廃硫酸からの設備が有りましたが、廃酸の発生プロセスが生産中止したために現在は有りません。 世界的には、既に130基以上の実績があると主張しています。(2014年11月現在)
一般的なプロセスと比較して、プラントコスト面でも、用役面でも有利とメーカー(トプソー社)は主張しています。 ただ、溶融硫黄原料では、元々空気中の水分が少ないので湿式法のメリットは少ないと思われます。 又非鉄金属製錬では、炉とガス精製部分のコストが硫酸製造設備より大きいので、他の硫黄ソースに比較してコストメリットは小さいものと思われます。
WSA概略フロー
製錬ガスでの実績
ご興味のある向きはお問い合わせください。 トプソー社の日本代理店、OTCを紹介します。
SULFOX法:
MECS社が開発したもので、WSA法と同じく、湿式硫酸製造法です。
このプロセスのユニークなことは、薄いSO2だけでなく、H2Sガスをも転化器内触媒で酸化することにより硫酸を製造できる、としていることです。
やはり凝縮温度を調整して? 高濃度の硫酸を得られる、としています。
非定常転化器:
転化器の触媒を多段に分割せず、SO2ガスの入り口と出口を一定時間ごとに切り替えるやり方で、転化器回りのガス熱交換器を省略するというものです。
触媒を予熱後、冷SO2ガスを触媒上部から通しますと、最初の内は触媒温度が酸化開始温度以上ですので
SO2 + 1/2O2 → SO3
の反応が進みますが、徐々にガス入口側は冷えてきます。 ガス入口を今度は触媒下部からに切り替えますと、高温の触媒に触れて酸化は継続され、冷えていた触媒上部は反応熱により昇温されます。 下部が冷えてきたら、今度はまた上部からSO2ガスを流します・・・
この反応を継続すれば十分な転化率が得られる、というもの。

旧ソ連で開発された技術であり、中国でも近年まで操業例がありました。
しかし、大きな最終転化率は得られないでしょうし、本当に安定した転化率が維持できるのか疑問です。 国内でもかってはこの技術を販売しているエンジニアリング会社がありましたが、売れたという話は聞いておりません。
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