硫酸技術   by T.Ono
 関連技術-2
2.脱H2S(コークス炉ガス処理)

 1)私の経験:
これは、私の会社が古くから有していた技術でした。
コークスの製造時に副生する、いわゆるコークス炉ガスは、目的とする炭化水素以外に、H2Sやアンモニアなどの多種多様の不純物を含んでいます。 このうち、特に有害なH2Sを除去する技術で、これにはいくつかの方式がありますが、私の会社が保有していたのは40年近く前にガス会社が開発した技術だったそうです。

H2Sをハイドロキノン触媒の存在下にアルカリに吸収させ、吸収液を酸化設備に送って空気酸化することにより硫化アルカリを硫黄として析出させ、同時に触媒を復活させて吸収塔に循環供給させるというものです。
アルカリとしては、コークス炉ガスの場合、多量のアンモニアを含んでいますので外部から供給することなく、自分のアンモニアでH2Sを吸収させていました。

長年の実績のある技術でしたが、私はずっと門外漢でした。
たまたま担当せざるを得なくなったのは、役員の時に部下が担当した大型設備で失敗してしまい、そのトラブル処理で致し方なく、というのが本当のところです。

従来の技術は誠に単純で、大きな吸収塔と、それと同様に大きな酸化塔の2本の塔の間を液が回っているだけのものでしたが、それを「高性能の酸素分散装置を吸収塔の下に組み込めば、酸化塔が不要になる」というあるメーカーの説明に部下が乗ってしまい、酸化塔無しの設備を作ったのはいいのですが、吸収率が保証値を達成できなかったのでした。

失敗の理由は、一重に「機器が触れ込み通りの性能を発揮できなかった」ということです。
なぜその「セールストーク」が見抜けなかったのか、も含め、この他にも色々と間接的な理由がありますが、ここで述べることは控えさせていただきます。

トラブル解決の為に客先と一緒にプロジェクトチームを結成して取り組みましたが、向こうも普段の仕事がありますので、呼ばれるのはいつも土曜日、食事一切なしで23時まで協議して「では、この検討結果は月曜日の朝までにいただけますね」の繰り返し。
おかげで、2005年9月初めから翌年の5月まで、休んだのは12月30日と元旦だけであとは全部出社というハードワークをすることになりました。 邪魔な電話とかが来ないよう、この間ずっと朝は6時半に出勤していました。 よく体が持った、と今にして思います。

このトラブルではいろんなことを改めて思い知らされました。
特に、皆さんにも覚えておいていただきたいのは、

1.「神様」を作ってはいけない。 (「専門家」も誤る)

酸素分散装置の技術者、この技術に若いころから取り組んできた担当の当社技術者。 いずれも「専門家」ですが、彼らも人間、間違いはあります。 専門家=間違いがない、としますと、「神様」になってしまいます。
人間はあくまで人間。 神様ではありません。

2.技術は、誰でも理解できるものでなくてはいけない。

1.と同様の意味かもしれませんが、これも大事なことです。 私自身も肝に銘じています。
 2)硫酸設備との関連:
この脱H2Sで副生する硫黄を含むスラリーは、燃焼してSO2ガスとし、硫酸原料にします。 (実際、私が最後に設計した設備がこれでした)
ただ、水分が多いため燃焼の前に加熱濃縮します。 それでも燃焼ガス中に水分が多いため、濃硫酸を得るためにはチラーなどで冷却してプロセスガス中の水部のへらす必要があります。
又燃焼ガス中には粉塵を含みますのでガス精製装置が必須です。
→「概論-2 原料」参照
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