硫酸技術   by T.Ono
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Wat Arun, Chombri, Thailand(暁の寺)
3.排煙脱硝(DeNOx)
排煙脱硝は、発電ボイラなど大量の排気では触媒の介在下にアンモニアや尿素と反応させるという乾式法が一般的ですが、少量かつ高濃度のNOxに対しては湿式法に利点があります。

私が設計・建設を担当したのはこの「湿式法」の一種であり、触媒として過マンガン酸塩を使用してNOxを酸化しながら苛性ソーダに吸収させて硝酸ソーダとして除去します。
それ故、大量の燃焼ガスではガス中のCO2により苛性ソーダが浪費されてしまいますので、「少量かつ高濃度」の排気に適しているのです。

具体的には、コンデンサ工場での硝酸によるエッチング工程で発生するNOxを処理するのに実用化していました。
私は、タイの日系企業にこのプラントを建設するときに担当しました。 主要な機器は日本から供給し、現地工事は日系企業に建設させました。

大変うまくいったのですが、数年後に呼ばれて点検しましたところ、副生物である炭酸ソーダが吸収設備の内部で結晶化して、鍾乳洞のようになってしまっておりました。
空気中のCO2を吸収した結果のようです。
小規模の設備には使いやすい技術ですが、苛性ソーダと過マンガン酸塩のランニングコストが比較的大きく、高価な製品を作っているプラント用でないと導入はペイしないと思われます。

この日系企業には、以前に国内で同じ脱硝設備を納入していたため、その実績が変われて購入していただいたものです。
1992年に1号機を納入、その後2000年、2001年と相次いで購入していただきました。

私の会社は、乾式法の技術も有しておりましたが、残念ながら私の担当中は受注に至りませんでした。
4.排水処理
これも排水の発生源により各種の技術が存在していますが、私どもの会社で取り組んでいたのは、化学プラントから発生する排水の処理でした。
化学プラントと言っても、製品は多種多様ですので、排水もそれぞれ異なります。
だから、排水ごとにサンプルを受け取り、ビーカースケールで処理方法を検討し、小さなパイロットプラントを作って条件を調べてから設計していました。
処理方法は、中和、吸着、イオン交換、生物処理・・・と、すべてカスタムメイドになります。
難しい排水では引合いから建設開始まで1年以上かかるものもありました。

私の担当したのは、マレーシアの硫酸設備を建設した客が持っていた活性白土の排水処理でした。
排水としては、希硫酸と白土のSSなので比較的単純なのですが、元々客先で簡単な中和・沈殿設備を建設していたところ、沈殿したスラッジを取り出すことができずに立ち往生してしまい、私どもに助けを求めてきたものです。

これは、十分な撹拌と滞留時間を取った中和槽を建設することで、これ以降の既設のシックナーとろ過機を有効利用することができました。

大量の副生スラッジは「錫鉱山の跡地に埋め立てている」と言っておりましたが、現在も継続しているようです。

排水処理は、排水ごとに適確な処理方法が異なりますし、その方法の開発には技術者個人の才能の有無が大きく影響すると思います。
例えば、私の先輩はこの分野の専門家で、石川県の建材メーカーの排水では、それまでに大企業であるD社、T社などがすべて失敗した設備を請け負って、1年半かかって処理方法を見つけ出し、特許も取得しました。 技術は会社の名前ではなく、個々の技術者によるものだな、と強く感じた次第です。

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