硫酸技術   by T.Ono
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At the bottom of a gypsum mine, Thailand
5.石膏ボード(マレーシア、1985〜89年)
石膏ボードは、国内においては家や事務所の壁、パーティション、天井板などに広く使われています。 安価でかつ不燃性なので、建材として適しているのです。
石膏(2水石膏、CaSO4・2H2O)をV焼して焼石膏(半水石膏、CaSO4・1/2H2O)とし、これに水を加えて練ったスラリーを紙の間にはさみ、板状にしたのち乾燥し、切断して規定寸法の板状製品とします。
国内では当初、燐酸製造時に副生する石膏(燐酸石膏)や排煙脱硫で副生する石膏(排脱石膏)を原料としていましたが、円高が進行するに伴い、タイなどの天然石膏輸入品に置き換わってきました。

私どもが硫酸設備を納入した、マレーシア Wembley社はマレーシア北部にあり、タイの石膏鉱山はマレーシアに隣接する南部にありましたので、この天然石膏を利用して生産することとしました。 (ページ上の写真は、この石膏鉱山の採掘現場訪問時です)

技術は、私の居た会社の関係会社のものを利用させてもらいました。
まず、塊上の天然石膏は、粉砕機で粉砕され、微粉になります。
仮焼には巨大な攪拌機付きの鋼鉄製の釜(ケトルと称します)に微粉の石膏を入れて、釜の底を重油バーナーで加熱します。 焼石膏は一旦サイロに貯蔵し、ミキサーにて水や副原料と混合し、連続ローラーの並ぶ成形機にて上下の紙に挟んで長い連続の板を作り、焼石膏が水和して硬くなった後連続的に切断し、ドライヤーで乾燥し、最後はサイザーと称する切断機で規定寸法になるよう両端を切り落として積み上げます。

日本の技術で設計し、かつ主要機械は日本のものを輸出して建設しました。 ところが、初期の製品は、なぜか板状製品のエッジの部分が欠けたり、紙の下に空気の泡ができたりするトラブルを起こし、中々品質が向上しませんでした。

関係会社の合弁先である、日本最大の石膏ボードメーカーの技術者にも来てもらいましたが完全には解決せず、最終的には運転を担当した工場長、L氏以下のその後の努力で解決することとなりました。

当初から日本と違うなあと感じていたのは、ボードよりも焼石膏の需要が大きく、利益も大きいということでした。 焼石膏を水で練って、プラスチック板などの上で固めて、紙のない石膏そのものの板を作り、これを天井などに張るという用途が多いのです。

化学プラントではありませんので、オペレーターの勤勉さや注意力が大きく品質に影響します。 L氏は私より2歳下の華僑系マレーシア人、硫酸設備の技術輸出したときからの付き合いですが、とにかく頭が良い上に日本人が舌を巻くほどの働き者です。
欲のない人間で、台北大学卒という田舎には珍しい高学歴なのに、プラントの所在地に生まれた故「ここが好きだから」とずっと勤めています。 一昨年暮れに訪問したときには、「もう定年の年なのだが、会社から『嫌になるまで働いてほしい』といわれている」とのことで元気でした。
竹下恵子に似た美人の奥さん共々、何度か日本にも来ています。 一番最近は、昨年12月に北海道観光に来たそうで、「なんでまた」と聞きますと「雪が見たかったから」だそうです。 雪のない国なので、珍しいのでしょうか。

このプラントは建設以来定期的に訪れているのですが、オーナーが3回変わり、現在はフランスの会社の参加になっています。 又なにしろL氏が優秀な人物なので、どんどんと機械も技術も更新してゆき、かなりの部分がオリジナルとは置き換わってしまいました。
例えば、石膏のV焼設備は、焼成釜中の微粉石膏中に重油燃焼ガスを吹き込んで流動焼成する方式に変えていました。 イギリスの技術だとのこと。

親会社が世界中にグループの工場を持っているので、L氏は技量を買われて中国、韓国、タイなどにしょっちゅう技術指導に訪れているようです。
「中国の工場はどうだい」と聞きましたら、「オペレーターが怠け者で困るよ」と笑っていました。
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