硫酸技術   by T.Ono
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6.脱臭(国内)
臭気対策は環境問題の大きな分野ですが、簡単のようで複雑です。
と言いますのは、臭気物質と呼ばれる化学物質の数が多く(数十万あると言われています)、当然それらの物理的及び化学的性質も千差万別ですので、「脱臭」と言っても、その物質ごとに最適な処理方法が異なるからです。
例えば、
@水に溶けるか否か A酸性かアルカリ性か B有機物質か無機物質か
その他、分子量、燃焼時発熱量、濃度、温度等々ことなります。
水溶性であれば、酸又はアルカリに吸収させたり、酸化剤や還元剤を使用して分解ができます。
濃度が高く、可燃性であれば触媒を使った酸化法が有効な場合が多いのですが、触媒毒になる成分が含まれているとこの方法は不可となります。
ガス量が少なければ、活性酸や酸化鉄などの吸着剤に吸着して除去しても安価で済みますが、大量のガスの場合は困難です。
有毒成分などを含む場合は、重油などの燃焼炉で燃焼酸化させる方法で完全に処理できますが、ランニングコストが大きくなります。
低濃度だが、ガス量が大きな場合は、地層中にパイプを通し、ガスを吹き込んで土壌中の微生物により臭気成分(有機物)を食べてもらう土壌脱臭とか、排水処理法の一種である活性汚泥法の処理タンクにガスを吹き込んでやはり微生物に臭気成分を食べてもらう活性汚泥法などもあります。
これらの方法をまとめた表を添付しますので参照してください。→脱臭方式比較表

私も、いくつかの方法を経験しました。
肥料会社では、酸吸収及びアルカリ吸収の双方を実施しました。
それにしても、日本の中小肥料会社は、劣悪な環境で仕事をしていらっしゃる例が多く、
「日本人みたいに世界から見て、高い給料をもらっている人は、こんな安いものを作っては駄目だなあ」とつくづく思いました。
「有機肥料」は、原料として生物由来の廃棄物(皮、骨、血液など)を使用しますので、トンデモナイ悪臭がします。 これらは、吸収酸化法や土壌脱臭法で処理しています。

比較的高濃度の炭化水素系の臭気物質は、某貴金属メーカーと提携して白金触媒を使用する「触媒酸化法」を採用しました。 これは、触媒を使用することにより、酸化反応温度を下げることができ、燃焼用の燃料を大幅に減らせます。 濃度によっては、まったく燃料が不要になる場合さえあります。

排水処理場では、発生する硫化水素の処理に、酸化鉄による吸着法を採用していました。 ある期間連続運転すると、吸着剤が硫黄で充満してしまいますので交換が必要です。
この廃触媒は、私が現役時代はそのまま埋め立て処分が可能でしたが、現在は多分管理型処分場で処分しているのでしょう。

脱臭の仕事で困りますのは、そもそも「悪臭かどうか」を判断するのは人間なので、感じる匂いの好悪や感度に個人差があり、敏感な人は、一人だけでも「まだ臭い」と主張されたら、改善しなくてはなりません。 こればかりは多数決というわけにはいかないことです。
色々大作した挙句、結局「この製品は製造中止」とか「工場を閉鎖」とかなってしまう場合も多く。
その土地に無くなってしまっても、その製品は必要なので、一体どこで生産しているのか? 環境問題を途上国に輸出したりしていないか? 正直心配なことでした。
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