硫酸技術   by T.Ono
 増強・改造−3
 
増強・改造:
1.ガス量増加
4)硫黄燃焼系の増強と能力検討
硫黄燃焼式の場合、当然硫黄バーナーの能力は増やす必要があります。

燃焼炉自体は、古い設備の場合単位容積あたりの熱負荷が小さく設計してありますので、通常余裕があります。 熱負荷の実績は、私の経験では250Mcal/m3/hrが最大です。
この値が大きくなりすぎると、未燃焼硫黄がボイラ以降に飛んでいく可能性がありますが、実例は知りません。
5)排熱ボイラの能力検討
排熱ボイラは、通常大きな余裕をもっています。 これは、水管の汚れにより伝熱率が徐々に低下しますので、最初に余裕を見ておくためです。 ですから、10%程度の増強ですと問題はありません。 (もちろん、古くなって余裕がなくなった場合は別ですが)
ボイラ周りの給水ポンプや脱気器なども検討が必要です。 これらも、通常は余裕があります。
6)ガス熱交の能力検討
ボイラと同じく、汚れによる伝熱率の低下を見越して15%前後の余裕はあるはずです。
伝熱管のベトや酸化鉄による閉塞の場合は、伝熱量の顕著な低下がみられますので、通風抵抗の削減を兼ねて更新をお勧めします。 この場合は、ステンレス材の使用をお勧めします。
→機器更新「ガス熱交
7)酸クーラーの能力検討
これも、オリジナルは10〜20%程度の余裕を見ているはずなので、通常は増強の必要はありませんが、使用年月による劣化の程度を見極め、現実の余裕を確認してください。
増強の必要な場合は、それぞれ下記となります。

 イリゲーションクーラー ・・・列数を増やす
 プレート熱交 ・・・ プレート枚数を増やす*1
 テフロン熱交 ・・・ 不足分の新しいユニットを増やす、または全体を取り換える
 陽極防食套管式熱交 ・・・ 同上

*1:プレート熱交換器の場合、増枚時のプレート価格は大変高く、20枚ほど増やすなら全体を更新した方が安かったりします。 又、既設プレートもガスケットは更新になりますが、ガスケットの価格も大変高価なので、これも全体更新の理由になります。 メーカーの戦略でしょうか。
8)酸ポンプの能力検討
乾燥塔、吸収塔における循環酸ポンプは、単純に言えば生産量に比例して循環量をアップする必要があります。 またこの場合、循環量のアップ→配管内流速のアップ→配管抵抗のアップ(流速の2乗に比例)となりますので、循環量だけでなく揚程も上げる必要があります。 動力は当然3乗倍となります。 ポンプの更新の必要があるかもしれません。
循環量をアップしても動力などを上げたくない場合は、循環酸配管のサイズをアップして管内酸の流速を下げます。

もしも循環量を上げない場合は、塔頂と塔底の循環酸の温度差が生産量増加に比例して大きくなりますので、増強前より塔頂温度を下げる(塔底温度は変わらない)のか、塔底温度を上げる(塔頂温度は変わらない)のかを検討しておきます。

塔頂温度を下げた場合、冷却水との温度差が小さくなるので、酸クーラーの伝熱面積を増やす必要があります。
SO3の吸収に対してはおおむね良好な影響があるはずですが、実際の運転開始時に確認する必要があります。

塔底温度を上げた場合、酸配管やポンプ、クーラーへの腐食の問題は増加します。
特にプレート熱交換器の場合、ハステロイーCを使用していても、酸温度が90℃を越えますと腐食が顕著になりますので、これを越えないように対策することが必要です。
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