硫酸技術   by T.Ono
 増強・改造−6
 
増強・改造:
3.原料転換
文字通り「硫酸製造原料を転換すること」ですが、現実には「硫化鉄鉱から溶融硫黄に原料を転換すること」です。

私が仕事を始めた昭和40年代は、公害問題が真っ盛り、石油からの脱硫硫黄が潤沢に世の中に出回り始めたころでした。
この流れに沿って、環境問題を引き起こす硫化鉄鉱から、クリーンな回収硫黄へと次々と原料が転換されてきました。

ですから、こんな物は過去の技術だと考えておりましたら、中国から原料転換の引合いを受け、1995年に改造工事を完了しました。 上海京藤化工公司です。

発展途上国、特に中国やインドは今でも硫化鉄鉱が硫酸原料として重要です。 今後もこういう仕事があるかもしれませんね。

原料転換によるメリットは以下です。
  1. 生産量の増強が図れる。
    硫化鉄鉱は、燃焼時に鉄分の酸化に酸素が使用されますので、燃焼ガス中の窒素比率が大きくなり、転化器前のプロセスガス中のSO2濃度は7%前後ですが、溶融硫黄原料の場合はこれが10.5〜11%となりますので、同じ設備、同じガス量でもSO2量が大きくなり、その分大きな生産量増大となります。
    勿論、生産量増大に伴い、触媒量の変更やポンプ類、熱交換器類の増強は必要です。
  2. 環境問題が激減する。
    硫化鉄鉱の燃焼により発生する酸化鉄は真っ赤な細かい粉塵状で、飛散しやすく、環境汚染の原因になります。 一方、硫黄原料の場合はすべてが液体と気体なので、系外の汚染の心配がありません。
  3. 設備が単純になり、メンテナンスコストが下がる。
    溶融硫黄になりますと、燃焼炉以降の集塵設備、ガス精製設備が不要になります。 又、貯蔵設備、運搬設備も、タンクと配管、ポンプで済みますので非常に簡単になります。
    設備が減ること、及び酸化鉄による摩耗の問題がなくなりますので、メンテナンスコストは下がります。
  4. 労務費が削減される。
    設備が単純になり、自動化が図れ、かつメンテナンスも少なくなりますので、運転要員、保全要員共に減らすことができます。
不要となる設備:
  • 貯鉱場、クレーン、コンベア類
  • 鉱石焙焼炉
  • 排熱ボイラ(硫黄燃焼用に更新要す)
  • サイクロン、ダストコットレル等乾式集塵装置
  • 冷却塔、洗浄塔、ガスクーラー、ミストコットレル等湿式集塵装置
  • 酸化鉄用コンベア類、酸化鉄貯蔵場
新設する設備:
  • 溶融硫黄タンク、同ポンプ
  • 硫黄燃焼炉
  • 排熱ボイラ
能力検討が必要な設備(ガス量が同じでSO2濃度がアップする場合):
  • 触媒量
  • ガス熱交換器
  • 酸循環ポンプ
  • 酸クーラー
  • 排ガス処理設備
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