硫酸技術   by T.Ono
 増強・改造−1
 
Sulfuric acid plant, Mie, Japan
増強・改造:
ここでは、既設の設備の生産能力増強と改造について述べてみます。
既設設備があるわけですから、当然長年にわたる運転データの蓄積があると思います。
これらのデータは、情報の宝庫ですので、きちんと整理して必要に応じて利用しましょう。

生産能力増強は、整理しますと
  1.プロセスガス量を増やす
  2.燃焼ガス中のSO2濃度を増やす
のどちらかに依ります。(まったくのScrap & buildの場合をを除きます)

硫酸設備の改造は(多くの場合、増強と組み合わされますが)、主なものに 
  3.原料転換 と
  4.転化率向上
があります。
又、
  5.エネルギー回収
が目的の改造もあります。

以下、それぞれについて説明します。 
1.ガス量増加
SO2濃度をそのままに、プロセスガス量を増やせばガス量に比例して生産量は増えます。
しかしガス量のアップに伴い、以下の対策・検討が必要です。 1)ブロワー(空気ブロワー、SO2ブロワー)の増強
例として、200T/Dの硫黄燃焼硫酸設備を考えてみます。
これを10%能力アップ、つまり220T/Dにアップすることを検討します。

この場合、空気ブロワーの風量を10%増やすことはもちろんです。
比較的古い設備ですと、ブロワーの余力が大きく、10%くらいは簡単に風量を増やすことができたりしますが、最近の設備ではこの余裕はせいぜい5%です。
しかし、設備全体の通風抵抗は風量の2乗(注1)に比例しますので、21%アップになります。 単純に「弁を開く」だけで風量が増えるものかどうか?
又、

  必要動力∝風量*通風抵抗

ですから、必要動力は33%のアップとなります。 ブロワーのみならずモーターも更新が必要です。
更新する場合、近年の大型設備では系全体の通風抵抗は50KPa(硫黄燃焼式の場合)〜70KPa(冶金式の場合)になる例もありますので、既設設備をできるだけそのままにして回収エネルギーを減らす場合と、設備を更新して回収エネルギーを増やす場合とのコスト比較をしましょう。

エネルギーコスト削減の意味で、後述の「通風抵抗の削減」をぜひ検討してください。

既設のブロワーの回転数を上げることで風量を増加させることは可能ですが、モーターと直結の場合、増速機が必要となり、コスト面でお勧めできません。

注1: 風量の増加による通風抵抗の増加は、実設備ではこれより小さくなります。
2)触媒の増量
能力増強時、これも絶対に必要です。 ガス量が増えますので、触媒量がそのままですと全体の転化率が下がってしまいます。 これは(どのような排気処理設備をもっているかにかかわらず)、排気処理における副生物の増加を意味します。
増やすべき触媒の量につきましては、各触媒メーカーに現状の触媒量、種類、転化器入口SO2濃度、ガス温度バランス、最終転化率及び増強後のガス量、SO2濃度、目標最終転化率を示して計算させます。

一方、セシウムを加えた、「低温活性触媒」があります。 これは、従来より低温(360〜410℃)で高い活性を有するもので、これに替えることによりSO2転化率の向上や回収エネルギーの増加が図れます。 又ガス量増加によりガス熱交換器の能力が減少して転化器入口温度が下がっても運転が可能になります。

又、高濃度SO3下で転化率の大幅向上が図れるという触媒もトプソーから売り出されています。
いずれも、触媒メーカーに相談して検討してみてください。

硫酸触媒は、現在国産はまったく無くなりました。 すべて輸入品です。

硫酸触媒取扱い会社のサイトを下記に示します。

  モンサント触媒
  トプソー触媒→日本事務所(OTC日本支社)

ちなみに、オリジナルは上からドイツ、アメリカ、デンマークですが、現在は各社ともインドその他の途上国で作っているようです。

当方でも、触媒購入のお手伝いができますのでお引合い下さい。 旧知の商社を通じての供給も可能です。
増強・改造−2へ
ホーム
概論
製造プロセス
設備新設
増強・改造

 ガス量増加  SO2濃度アップ
 原料転換
 転化率向上
 エネルギー回収

機器更新
メンテナンス
運転
各種硫酸製造法
耐食材料
物性データ
計算
安全

プラント建設体験
関連技術
資料

ご質問・引合い
良くある質問(FAQ)
リンク


ちょっと一言
 関連サイト:
 プロフィール  サイトマップ  プライバシーポリシー  更新履歴 
 リンクフリーです。 内容の転載につきましてはご一報ください。  All rights reserved to Tsunetomi Ono.