硫酸技術   by T.Ono
 安全-3
 
高温
1.危険の存在
硫酸設備は、高温を取り扱う機器が多い為、火傷の危険が常に存在します。

1)ほとんどの機器は火傷防止のため保温材を被せていますが、硫黄燃焼炉及び炉以降の
 ダクトの場合はむき出しになっていることが多く、火傷の危険があります。
2)高温の蒸気やボイラからのブロー水、スチームトラップからのブロードレンなどを被って
 受傷する危険があります。
2.設備上の注意
高温表面には、25cm程度の厚さの火傷防止用保温材を施工しておきましょう。
この施工ができない硫黄燃焼炉及びそれ以降のダクトについては、機器やダクトの表面に作業員が近づけないような配慮が必要です。(柵など)
ブロー水やドレンの噴出先は、必ず蓋を被ったピットや排水溝とし、くれぐれも地上に吹き出すことがないように注意しましょう。
3.作業時の注意
できるだけ肌が露出しないよう、長袖作業着や手袋、安全靴等の着用は必須です。
4.受傷時対策
、一般の火傷と同じく、「できるだけ早く冷やす」ことが重要です。 これは水でも十分です。
タンク内作業
1.危険の存在
「タンク内作業」とは、いわゆるタンク以外にも、塔内、転化器内、地下ピット内など、「周りを囲まれて通風の悪い空間」すべてにおける作業です。
これら「タンク内」では、通風の悪いことによる
1)酸欠
2)有毒ガスによる中毒
3)非常時の逃げ遅れによる事故
などの危険があります。
2.作業時の注意
1.他の箇所から有害なガスや硫酸、上記、水などが流入しないように、他の機器との
  接続ダクトや配管には必ず封止板を入れておきましょう。 
  バルブのみの場合は、簡単に開けることができないように施錠しておきましょう。
2.タンク内は、可能な限り掃除し、酸欠の原因となるヘドロなどを取り除いておきましょう。
3.作業開始前には、必ず新鮮な空気を吹き込むことができる通風ファンに蛇腹ダクトを
  備えたもので十分な空気を送り込んでおきましょう。
4.作業員が中に入る前に、酸素濃度を測定し、酸素濃度が21%あることを確認して
  おきましょう。
5.有毒ガスの存在が疑われる場合は、防毒マスクではなく通気マスクや酸素マスクを
  着用して作業しましょう。
6.必ずタンクの入り口外側に監視員を常駐させておき、内部の作業員の異常の有無を
  常時監視させましょう。
  タンク内作業員が倒れた場合、監視員は必ず誰か外部のの助けを呼んだ後でなければ、
  タンク内に入って救助することは控えましょう。 監視員も倒れて、誰も気が付かないという
  事故の例は多々あります。
7.タンクの底での作業で、救助が上からしかできない時には、命綱を準備しておきましょう。
8.不慮の事故に備えて、酸素ボンベ・マスクやゴムのカッパは常備しておきましょう。
3.受傷時対策
風通しの良いところに受傷者を移動し、できるだけ速やかに医師の治療を受けさせましょう。
参考文献
硫酸を含む化学物質の物性、安全上の指針を網羅したものとしては
日本化学会編 「化学防災指針集成」
がありましたが、現在品切れとなっているようです。
硫黄タンクの基準につきましては、前述の
危険物行政研究会著、東京消防庁監修「図解 危険物施設基準の早わかり
が最適です。 ネットで購入できます。
又、硫酸協会発行の「硫酸手帳」にも安全上の注意が記載されてありますので、参照ください。
人間の問題
現役時代、「危険物第7類 人類」などとふざけていたことがあります。
しかし、これはある意味本当かもしれません。

事故を起こすのは人間です。 ですから、
1.設備の設計は、「人間は失敗する」ことを前提にすること。(Fool-proof)
2.誰かが「やった」と言っても、自分で確認すること。 安全では、他人は信じないこと。
3.「最悪の事態」を想定して対策を講じておくこと。


これらの事項を、十分肝に銘じておかれることをお勧めします。
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